盲人という他者

「かたち」の哲学 (岩波現代文庫)

「かたち」の哲学 (岩波現代文庫)

モリヌークス問題は知覚の哲学のお題でもあるけれど、

(1) 盲人の視覚は晴眼者にとっては内省によってたどりつくことが不可能な体験であり、

なおかつ、

(2) 盲人に人格と尊厳を認めるのであれば、非人間的なリバースエンジニアリングや、一方的な憶測が許されない。

これは、「他者をいかにして知るか」という、いかにも啓蒙の時代にふさわしい公案だということに先日気がついた。

とはいえ、たぶん歴史的な経緯から言えば、「他者論」はその後の200年で手垢が付きすぎるくらいに議論百出してしまっているところでもあり、この公案に改めてフレッシュな気持ちで取り組むためには、知覚の哲学という切り口を導入する必要があった、という順序なのだろうとは思うけれど。

(以上、特にオチはない)

美学―ジェンダーの視点から

美学―ジェンダーの視点から

  • 作者: キャロリンコースマイヤー,Carolyn Korsmeyer,長野順子,石田美紀,伊藤政志
  • 出版社/メーカー: 三元社
  • 発売日: 2009/12
  • メディア: 単行本
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「他者」を抽象的なカテゴリーにしてはいけない、ということを教わる機会として、今ではジェンダー論というのもあるし。