昨日の世界

というより、単に、私が昨日こうだった、というだけのことですが、

佐々木健一先生と短時間ですが同席させていただく機会があって、帰宅後、昔NHKでやっていたカツァリスのショパンのレッスンを見直す機会を得た。

1933年放送だったんですね。

「弟子たちから見たショパン」に書いてあることをリアルに実践するとこうなるんだ、と思い知らされる番組で、わたくしはクライバーの有名な「こうもり」のリハーサルの映像に匹敵するコンテンツだ(19世紀ヨーロッパの音楽とはこういうことだ、という入り口を教えてくれたという意味で)と思っておりますが、

スケルツォ第2番は、この作品を幽霊のモノローグ(パリの「白いバレエ」を実際の舞台以上に恐ろしくしたような)として演じさせるレッスンだったんだということが、いま見直してようやくわかった。ショパンとベルカント(ベッリーニ)、というのは過去20年でかなり周知されていると思うけれど、グラントペラやロマンティック・バレエを含めたパリの音楽生活については、見落とされていたり、忘れられて気付かれていないことがまだ色々あるのかもしれない。