ラローチャのトゥリアナ

YouTubeにいくつか映像があがっているのは、ラローチャの十八番だったからなのだろうけれど、1969年のテレビ映像がいい。

ラローチャは、アルゲリッチが英国で学んだマリア・クルチョの親友だったらしく、このあたりに20世紀のラテン系女性ピアニストの系譜とでもいうべきものがある気がします。

そしてそのような潮流が可能だったのは、フランスのピアノ音楽に、オルガン風に指を行儀良く鍵盤上に並べることに反発して、ギターを弾くように指が鍵盤上を跳ね回ることに喜びを見いだすスペイン趣味があったからだろう。

そしてこれがスカルラッティ等のチェンバロ音楽復権ともつながっていると考えれば、ランドフスカがパリでプレイエルの改良チェンバロと巡り会うことで世に出たのと、アルベニスのパリ移住、ラヴェルやドビュッシーのスペイン趣味が同時代なのは偶然ではないと思えてくる。

女性ピアニストの活躍とチェンバロ復権とスペイン趣味の連関は、日本の作曲界(とその周辺のオトコたち)を覆う奇妙に大きいメシアンの影と同じかそれ以上に興味深い。