ゲルハルト・ボッセのメンデルスゾーン

先月の大阪センチュリー定期(2/16、ウェーバー「オイリュアンテ」序曲、ベートーヴェン「交響曲第2番」、メンデルスゾーン「スコットランド交響曲」)と、今日の神戸室内合奏団定期(メンデルスゾーン「最初のワルプルギスの夜」、「スコットランド交響曲」)。2度続けてボッセの指揮するメンデルスゾーンを聴くことができました。

大変申し訳ないのですが、ボッセという人が指揮者としてそれほど特別な人という風には思っていません。ただ、メンデルスゾーン(などドイツのこの時代の音楽)を真面目に取り上げてくれる人は、今時ほかになかなかいないので、そういう意味で気になります。

ドイツのライ麦パン(まん丸でずっしり重たいやつ)というのがありますが、日本で作って売っているのは、たいてい、日本人向けに「美味しく」なっていて、ドイツで普通に売っている感じのものがないんですよね。

ボッセは、そういう何の変哲もないライ麦パンを黙々と作って、なぜか日本で売っている人、というのが私のイメージです。

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星野宏美さんが、「メンデルスゾーンのスコットランド交響曲」(音楽之友社)で「賛歌」・「スコットランド」・「ワルプルギス」をライプチヒ三部作と呼んでいらっしゃいますが、

メンデルスゾーンのスコットランド交響曲

メンデルスゾーンのスコットランド交響曲


なるほど、「賛歌」と「スコットランド」の横に「ワルプルギス」を置いてみると三者の繋がり見えてくる気がしました。

「ワルプルギス」と「スコットランド」の結末の歌はよく似ていますし。

「最初のワルプルギスの夜」はドルイド教徒が山に立てこもっていて、いわばベッリーニ「ノルマ」の世界。「スコットランド」は不吉な嵐が吹く中世スコットランド、ということはドニゼッティ「ルチア」の世界。「賛歌」は、(これといった適当なオペラを思いつかなかったのですが)ユダヤの地、旧約聖書・詩編の世界。三つの土地/民族のローカル・カラーと民衆の歌、ということなんですね。

(なんだ、これこそまさに、「民族のハーモニー」@熱狂の日2007じゃないですか(笑)。)

今日の演奏会の曲目解説は寺西基之さん。短いですが的確な説明。さすが。(「音楽評論家」としてご活躍ですが、以前、ウェーバーの音楽観に関する論文をお見かけした記憶があります。たしか「国際ウェーバー協会」の会員にもなっていらっしゃったはず。)

先月のセンチュリーの曲目解説は服部智行さん。……どうして、こんな手前勝手な「音楽学とは」論(つっこみ所が多い)を演奏会前に読まされねばならないのか意味がわからない。(「音楽学」の肩書きですが、アイヴズで関西学院から学位を取得されたということのようです。)

(そういえばセンチュリーは、大阪府のオーケストラなのに、私が行く時はいつも、関学出身の人が解説を書いている気がします。これも何故なのかよくわからない……。もし関学出身の誰かが関係者にいて、ということだとしたら、こんなバレバレなこと、するわけないですよね。公共の楽団なんだから、悪意のある人なら、もっと巧妙にやるはず。他の学校を当たるという発想がなくて、なんとなくズルズルと、ということなのでしょうか?……素朴な疑問。)

演奏は、「ワルプルギス」はちょっと大変な出来でしたが、「スコットランド」は、これでいいんじゃないでしょうか。私にとっては、あくまで「ドイツの普通のライ麦パン」なので。(意味不明な感想ですみません。同じ演目の東京公演もあるようなので、興味のある方は、ご自身の耳でご確認ください。「最初のワルプルギスの夜」は本当に珍しい演目ですし。→ 神戸室内合奏団第17回東京公演、3/4(日) 14:00- 紀尾井ホール。)