日本における国際派

「金の魚の話」という曲の楽譜が大阪で見つかり、再演された2010年8月のNHK大阪の番組に出た三善晃が、ひどく老いていたのに衝撃を受けたのを覚えているが(http://d.hatena.ne.jp/tsiraisi/20101103/p1)、訃報に対する感慨は特にない。

ラフマニノフはロシア国内では「西欧派」と目されていたらしく、一方、これを泰西名曲という想像の音楽博物館のなかに陳列すると、いかにもロシア的な「美しい短調」(小岩信治)に思えるわけだが、国内の作曲家たちがこぞって憧れる「フランス派」を同時期の想像上の音楽世界地図のなかに置くとどう見えるか。小鍛冶邦隆さんだったら上手に解説・説明しそう。

少年ジャンプや朝日ジャーナルを講読するように、日本の「現代作曲家」のスコアを買って読む、という趣味が1960〜70年代にあって(最初に『音楽芸術』の付録で出て、あとで単行本(?)化される、という流れもコミックの出版方式と似ている)、そのニッチな楽しみのなかで確固たる評価を得ていた「読まれる作曲家」という感じがする。万博のときの「祝典序曲」のスコアは持ち運びが大変な大判で出版された。それほど巨大編成というわけではないのに、何故だったのか。

現代作曲家探訪記~楽譜からのぞく世界~

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