造成地の風景

ニッポン景観論 (集英社新書)

ニッポン景観論 (集英社新書)

膨大な写真のなかに湯布院の大分銀行の看板の話もあって、ああ、湯布院はこういうところなのかと、何故か、知人の動静を思わぬところで聞いたような気分になってしまった。

ただし、私は大阪へ来て、ずっと造成地の団地住まいだし、大阪万博のお膝元。コンクリートの前衛芸術、見事にシンメトリーな看板・張り紙は、著者のような皮肉としてでなく、ベタに「なかなかいいじゃないか」と思ってしまいます。古き良き景観を美しく保存することのほうが、よほど上手にやらないと嘘くさく、リアリティがないように思ってしまう。

[これは、昔いずみホールの例のPR誌にも書きましたが、OBP周辺のコンクリートジャングルのことも、私は、コンリートジャングルであるところが、何だか「懐かしい」感じで嫌いではない。たぶん鴫野の西村朗もそう思っているはずです。ところが、「コンクリートジャングル、いいですよね」とホールの人に言うと、皮肉を言われたかと変な勘違いをして嫌な顔をしたりするから、話がややこしくなるのです。お客さんたちだって、コンクリートジャングルの中にある音楽テーマパークと思って集まってるはずなのにね。]