公務員はパブリックスペースのバックヤードである(再確認)

劇場でもホテルでも役所でも、人が集まる場所はどこでもそうだと思うが、表から見える空間は建物のほぼ半分程度でしかないと思う。半分は「関係者以外立ち入り禁止」のバックヤードだ。

なぜそうなるかというと、公共性という人工的なしくみを円滑に存続させるためにはそれだけの「裏方」が要る、ということだと思う。

そしてユーザー目線「だけ」ではにっちもさっちも行かないのはそのせいでもある。

裏が裏だけでうまく回っていたり、表で楽しくイベントが進行していれば、そんな細かいことは気にしなくてもいい、ということになりそうだが、たぶん、それを純化すると王政に近くなる。行政(バックヤード)は専門家の世襲、経済(表舞台のイベント)は民間の自由放任、とかね。実際アメリカの大統領制はもはや王朝っぽいよね。ケネディ家とかブッシュ家とかクリントン家が統治しとる。

デモクラシーというやつは、バックヤードを民間人に見せる&バックヤードのスタッフもオフタイムは民間人として表に出てくる、というカジュアルなスタイルのパーティみたいなもので、実際、バックヤードと表舞台をつなぐインターフェースとして政治家はパーティ(政党)単位で活動している。

……というような図式で捉えるのが現状に即しているように思うのだが、しかしこれは、バックヤードと表舞台の区別が消失する、ということではないはずだ。むしろ、同じ人間が適宜色々な立場を切り替えながら生きていくことになる。

そして、バックヤードの人間が、表に出てきて、

「オレは裏の事情をよく知ってるぜ」

と吹聴して人気者になる、とか、

「バックヤードと接触したかったらオレを通せ」

とか、

「公務員生活何十年のオレが、公共性とは何であるか、民間人の君たちに教えてあげよう」

みたいのは、あからさまにアナクロで、場合によってはアウト判定される可能性が高い。

だって、お前なんかに教えてもらわなくたって、表舞台の人間(民間人)にも、知るべきことは知りうるように制度設計されているはずだもん。実際そういう方向へおおむね世の中は動いているし。

そして「今は知られていないけれども周知されるべき事柄があり、それを私は広めたい」という義憤に駆られる公務員(バックヤード)さんがいるとしたら、まずは正規ルートで正々堂々とやって欲しい。それが無理なら、同様に正々堂々と、まずは自分が肩書きを外した個人として立って(公務員の兼業禁止は基本中の基本のルール)、ターゲートが何であるのか、問題のある個人や組織を明白に名指しして、要求項目・批判点をはっきり特定して告発しなさい。それらしいムード作り、とか、そんな弱気な気遣いはいいから。

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で、キミ[実名にしようかと思ったが今回は見送る]は公務員なんだよね。だったら、まずはキミの場所で闘ってくれ。他人に説教垂れるのは、あとにしてくれ。