「彼の知っている党はただ一つ、すなわち多数党である」

ジョゼフ・フーシェ―ある政治的人間の肖像 (岩波文庫 赤 437-4)

ジョゼフ・フーシェ―ある政治的人間の肖像 (岩波文庫 赤 437-4)

ツヴァイクがなぜフーシェなんだろう、と読んでいくと、フーシェはリンツからトリエステに零落して死ぬんですね。ウィーンの人間の目線で、パリの高い塔のてっぺんからヒュ〜っと墜落して、近所の道ばたへ……、という描き方ができたわけか。

(ブルックナーの街リンツは、酷い言われようだが……。)

レ・ミゼラブル〈4〉 (岩波文庫)

レ・ミゼラブル〈4〉 (岩波文庫)

コゼットも美少女に変身して、ようやく1832年の暴動。

「名前は何というんだ。」
「テナルディエです。」
「僕はその名前を忘れまい。」と将校は言った。

この3行にたどりつくまでに延々ナポレオンとワーテルローの話につきあわされるスタイルも、だんだん腹が立たなくなってきた。

(こういう悠然とした書きぶりに心酔して、マネしようとするから、旧制高校風「人文」の大教授は竜頭蛇尾な大演説をしてしまうのだろう。

訳書(一)の巻頭に掲載されている豊島先生の序文は名調子ですね。びっくりした。序文で、何の躊躇もなく、あらすじを結末まで堂々と明かす浜村淳方式(笑)。)

翔ぶが如く〈1〉 (文春文庫)

翔ぶが如く〈1〉 (文春文庫)

大久保と西郷の話だから当然だが薩摩だらけの全10巻。江戸時代から連綿と続く大隅半島開墾のどのあたりに、うちの母方の祖先はどういう風に絡んでいるのかなあ、と思いながら読む。