ポリフォニックなピアノ

シャコンヌ(バッハ/ブゾーニ)と渋いセレクションのショパン、これも渋いセレクションのラフマニノフのプレリュードで最後はプロコフィエフの6番のソナタ。さらにアンコールでシューマン/リスト「献呈」。

単なる「美し系」ではなくエッジの効いた音で、音数の水増し・虚仮威しではない技巧がそれぞれの作曲家のピアニスティックなポリフォニーを浮かび上がらせて、なおかつ、ショパンは気むずかしい皮肉屋で……(パリの社交界の人々は、なにゆえにいつまでも抱き合ってクルクル回っておるのであろうか、付いてこれるかなポリリズム(笑)……回れ回れ、加速してもっと回れ……ありゃ、ころんじゃったよ、やり直し……っと、回りすぎてどっかへ飛んでいっちゃったね、じゃ、はいオシマイ、ジャララダダラ ドン!……みたいなop.42とか)。

これは大久保賢先生のためにあるようなプログラムではなかろうか。まことに素晴らしがられそうな河村尚子リサイタルであった(京都コンサートホール小ホール)。