成功の概念

朝比奈隆、小澤征爾、大野和士、山田和樹、というように、欧米のオーケストラが指揮者として契約した日本人の系譜のようなものを想定してみる。

朝比奈隆の場合は毎回単発だったのだから、他の3人と並べていいのかどうか、とか、小澤以後になると、メルボルンの岩城宏之とか他にもいるし、まして、大野和士の周辺やそれ以後になると、もっと色々名前を挙げることができるはずだ、とか、あるとは思うけれど、とりあえず、そういうのが、指揮者としてやっていく上での「成功」のひとつの目に見える形だ、ということは言えるだろうと思う。

それぞれの指揮者の解釈や技量がどうで、それを個々人が好きか嫌いか、ということは色々あるだろうけれど、それとは別に、この人たちのその種の「成功」とは、具体的にどういうことだったのか、どうして、そういうことが実現したのか、ということに興味を持つ人はいるに違いないし、だから、朝比奈隆(この種の「成功した日本人指揮者」の最初)が欧州でいったい何をやったのか、調査・研究を志す人は普通に出てくるだろうと思っていたのだけれど、誰もやらないのだろうか?

日本人の学者・研究者が、欧米(とは限らなくていいかもしれないけれど)の大学や研究機関と契約して働くことを一種の「成功」と見なしうるのか、という知識人論風の話題と比較・参照しながらやれば、ポイントが色々出てきそうに思うのだけれど。