日下紗矢子ヴァイオリンリサイタル

京都府立府民ホール・アルティ。もともと、大変な集中力のある人(一点のミスもなく一筆書きができてしまうような←わかりにくい比喩)。見違えるくらい表現の幅が広がって、バッハ「無伴奏パルティータ第2番」は、シャコンヌに至るまで、ひきしまった素晴らしい演奏でした。

また、最近の優秀な若い人は、皆さん、機械のように正確で、周囲を一切顧みない、機関銃のようにハイ・スピードで音符を繰り出すことができるわけですが、ストラヴィンスキー「イタリア組曲」でのみ、この技を解禁するというのは、悪くない判断だと思いました。(ただし、先のバッハも、ストラヴィンスキーも、基本的には、じっくり腰を落ち着けた、弾きとばさないテンポ設定。このことにも、頼もしい印象を受けました。)

プロコフィエフの第2ソナタも、シャープでモダンな仕上がり。この作曲家の音楽は、こういうものだという了解がゆきわたっているようなので、これはこれで良いのかも知れません。が、原曲はフルートソナタですし、中空を浮遊するような柔らかい手触りを基本にして組み立ててもよかった、そういうこともできるようになって欲しい、という思いは残りました。

他に、武満徹「悲歌」。ピアノ:長尾洋史。