大阪フィルのブログ

大フィルのブログが、最近急にこなれた文体に変わったなあと思っていたのですが、本日、記者会見に行きましたら、ぴあから来られた方が広報チーフにご就任で、広報二人体制になったとのことでした。

本日、大植英次 音楽監督による来シーズンに向けた記者会見を行いました。

記者会見 大阪フィルハーモニー交響楽団の公式ブログです。

大フィルさんの、手堅く良い仕事をしていらっしゃるのに宣伝は……というところが、ミシュランなど眼中にない頑固な老舗割烹のオヤジさんみたいで、私は個人的に好きだったのですが……、

でも、世の中の流れとしては、広報なくして活路なし。大フィルもニュー・エイジ(大植さんの9年は、長い目で見れば新しい時代のはじまり)ということでしょうか。

ちなみに、大フィル・ブログの写真にも写っていますが、記者会見の会場に、大植さんはぶ厚い本をたくさん抱えてご登場でした。何かと思ったら、大作曲家たちの「自筆譜」。(先のブラームス演奏会のときに持っていた、ブラームスの4番などを含む数冊をご持参。)

が、学者くずれのサガでうるさいことを申しますと、(そして、おそらく多くの方が心の中で思っていたであろうように)あれは、言葉としては「自筆譜のファクシミリ」ということになろうかと思います。

もちろん、内容は、自筆譜のままの状態で印刷しているので、作曲家の「手」がリアルにわかります。

自筆譜のファクシミリ版は、私家版であったり、非売品であったり、かつて研究用に少部数で出版されたきりだったりして、今では古書市場に流通するのみなので、色々な方から贈られたものを多数所持していらっしゃるのは、しかるべき筋から愛され支持されている指揮者だからこそですけれど。

とにかく、作曲家の自筆楽譜の話をするとき、大植さんは純真な子供のように心の底から幸福そうで、「マエストロ、それは自筆譜ではなく……」とは言えない雰囲気なんですよね。

そういうところが、大植さんの愛すべきキャラクターということでしょうか。

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それにしても、こういう風に「作曲家の楽譜」に尋常でない愛情を注ぐところは、ひたすら「楽譜を読む」人だった朝比奈隆さんの後継ぎにぴったりなのに、と思ってしまったりして……。あと一年、でございます。

(来期は、年末の第九も大植さんが振って(12/29は朝比奈隆さんの命日からぴったり10年)、任期の一番最後の日3/31にもコンサートがあるそうです。)