2014年に向けて音楽書の新刊を買う

2014年=「大戦争」第一次世界大戦からちょうど百年になるところで、今度こそ新しい世紀なのかもしれないなあ、などと思う。大げさな一時の思いこみである可能性は拭えませんが(笑)。

とりあえずこの10月終わりに一斉に気になる音楽書が色々出て、見ると、なんだか本の「面構え」が変わってきたなあ、という気がするんですよね。

とりあえず3冊買った。

片山杜秀の本6 現代音楽と現代政治──ラジオ・カタヤマ【予兆篇】 (片山杜秀の本 6)

片山杜秀の本6 現代音楽と現代政治──ラジオ・カタヤマ【予兆篇】 (片山杜秀の本 6)

片山杜秀さんは、こんな感じに一年に一冊、まるでかつての映画のシリーズものみたいに、安定したクオリティで定期的に本を出す人になったりするのだろうか? 大正の少年音楽隊は、ニッポンのエル・システマであった、という話にぐっと胸を掴まれる。

「アジア人」はいかにしてクラシック音楽家になったのか?──人種・ジェンダー・文化資本

「アジア人」はいかにしてクラシック音楽家になったのか?──人種・ジェンダー・文化資本

そういう意味では、アジア人がいかにして音楽家になったか、という問題設定は、片山さんの「少年音楽隊=エル・システマ」説と対になる話なのかもしれませんね。こちらは、まだ目次を眺めただけですが……。

現代のピアニスト30: アリアと変奏 (ちくま新書)

現代のピアニスト30: アリアと変奏 (ちくま新書)

で、これも目次でラインナップを一覧しただけなのですが、こうして並べてみると、ペライア、ルプー、アファナシエフなど、戦後生まれで、吉田秀和の『世界のピアニスト』では若手だった人たちが重鎮で、この人たちは70年代に出てきたわけだから、不換紙幣な「ニクソン・ショック以後」に上から下まですっぽり包まれてしまった空間が「現在」なんですよね。舞台がぐるっと一周した感じがします。「ピアニストという商品」の品揃え・カタログを一新しただけなのか、もうちょっと違うことが起きているのか、そこはこれから読まないと何も言えませんが。