シューマンの名誉博士号(イエナ大学)

シューマン (作曲家・人と作品シリーズ)

シューマン (作曲家・人と作品シリーズ)

クララとの結婚をめぐる裁判の最中に、ヴィーク(クララのパパ)のシューマンへの誹謗中傷が酷いので、対抗措置として、自分が「まっとうな市民」であることの証明として、シューマンはイエナ大学の先生に、これからシェークスピア劇における音楽の役割について論文を書くので博士号をくれ、と打診したらしい。そうしたら、その先生は、彼の評論家・作曲家としての業績に対して大学が名誉博士号を出すように手を回し、さっそく証書を送ってくれたそうだ(65頁)。

なんや、学位って、そんなもんやったんか。コピペすらせずに、履歴書を添えた手紙一本でゲットできたんだ。しかもその目的は結婚のためであったという……。それが19世紀ドイツの教養市民のソサエティ。感覚としては、推薦状を書くことの延長という感じでしょうか。