大学人の学術書贈与システムをめぐる部外者の素朴な不安

ゆるやかに前のエントリーともつながっている話です。

(岡田暁生という「大先輩」と久々に対面せねばならなくなって、気の弱い「研究者崩れ」がビビって、不安と妄想で心の中がグチャグチャになっておるのだと、ご笑覧いただければ、それで十分でございます。卑屈で矮小な男の愚痴です(笑)。)

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毎回、色々な本や音源、映像をご紹介させていただいていますが、原則として、ここでは、自腹で買った本やDVDだけを紹介しています。

でも見ていると、大学の先生方のあいだには、お互いに自著「謹呈」をする風習があって、そういう書物については、ブログで「手製の美しいお礼状を頂き恐縮です」と優雅に応答しあったり、「このような本を頂きました!」と書影をブログに貼り付けて済ますものであって、内容に関する「忌憚のないご高評」を賜ったり、賜られたりすることはあまりないようです。(「忌憚のないご高評」は、多くの場合、建前の言葉であるらしい。)

大学人コミュニティでは、書物がお互いの間をぐるぐる回っており、あたかもマルセル・モースの「贈与論」で言うマナのような役割を果たしているかのようです。

執筆報酬としての原稿料や、「一般読者」が書店で書物を購入した代金から分配される印税は、このような「学術書贈与システム」の原資、いわば大学人コミュニティが一般信者から徴収する「お布施」であるかのように見えます。

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