言説A: 「××はひとかどの音楽家だけれど、教師としてはどうなんだろう。弟子と言っている人たちは、形をマネするだけで、中身がない」
という語法があります。おそらくこの語法で弟子たちがなで切りにされる典型がレナード・バーンスタインであろうと思われます。
- 作者: レナード・バーンスタイン,岡野弁
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そして一方に、
言説B: 「あの人もこの人も○○先生のところで勉強したんですよ。先生の教えを忠実に守って、素晴らしいことです。あなたも頑張らなくちゃね」
という語法があります。
ことわざには、しばしば正反対の意味をもつものが両立していると言われますが、ある先生の弟子であることを揶揄する言説Aと、ある先生の弟子であることを称讃する言説Bは、両者を巧妙に組み合わせることで好ましい血統を守り、好ましからざる音楽家を一代限りに孤立させて排除する家元政治のツールではなかろうかと思うのですが、どうでしょう?
(少なくとも言説Aは、家元系の人たちが、「どこの馬の骨とも知れない人気者」当人を直接批判しちゃうと嫉妬だと思われ沽券に関わるので、代わりにその追随者を叩く巧妙なレトリック、婉曲で上品(?)な文脈でしか私は聞いたことがないんですよね……。)
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