小栗まち絵ヴァイオリン・リサイタル

いずみホール、エクソン・モービル音楽賞受賞記念演奏会。モーツァルト、バッハで18世紀の弓を使い、イザイ、ドビュッシー、ラヴェルでモダンな弓を使うというように、1月の森悠子さんのリサイタルと対になる企画でした。一回的なパフォーマンスというより、つい、演奏法の範を示すような「先生然」とした感じになってしまうところも、お二人に共通するところかもしれません……。

小栗さんの場合は、古い弓を使っても、音楽の作り方が変わるというところまでは(まだ)徹底しておらず、終始、モダンな音楽に聞こえました。

12月の上野真さんのフォルテピアノもそうでしたが、影響力のある「先生」が、こういう風に、新しい演奏思想を、道具の交換という「お手軽」な形で処理してしまうのは、将来に禍根を残すのではないかと心配です。教育とは、簡略化によって、話をわかりやすくすることではないはずですから。

ピアノは上田晴子。昨年の演奏がかなり評判になっていた人。次は、中途半端な企画ではない、本格的な室内楽で、じっくり聞かせていただきたいと思っています。