関西フィルハーモニー管弦楽団第218回定期演奏会

何年か前に大植英次さんが大フィルでマーラーの第九交響曲を定期の曲に選んだときは、プログラムが発表された段階で既に不吉な感じがしていたのですが(いかにも指揮者が退任時にやりそうな曲なので……)、

今回は何の前触れもなく、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を弾き振りするとは大胆な企画、どうなるのかという素朴な興味から聴きに行きました。

が、前半の「フィンガルの洞窟」とシューベルトの交響曲第5番が終わって、休憩が空けたところで、デュメイ氏体調不良により、演奏会後半は中止。

ライブには色々なことが起きますね。

準備段階で演奏曲順が二転三転した演奏会だったようです。

当初発表されていた曲順は、ごく普通に(1) 「フィンガル」 (2) シューベルト (3) ベートーヴェン。

でも、当日で受け取ったプログラムでは、前半がベートーヴェン、後半が「フィンガル」とシューベルトに変更されていて、

ところがどうやらリハーサルの結果、やはり当初の曲順(ベートーヴェンは後半)に戻すことになった、と会場で告知されていました。

前半のメンデルスゾーンは和音の色の移り変わりや弦楽器のメロディーを大切にする演奏。シューベルトは軽快で足ばや。目標を高く掲げて「付いてこい」と指揮者が先陣を駆けるような演奏でした。その分、細かいところで脱落者が出る演奏ではありましたが、ともかく、暴れん坊の印象がある関西フィルの普段のイメージとは様変わり。

陳腐な比喩で恐縮ですが、リーゼントにダブダブの学ランを着てバイクを乗り回すヤンキーさんが、ある日突然、さらさらヘアーで校則を守って朝から登校したかのような、信じて良いのかどうなのか半信半疑の、不思議な違和感を感じさせながら、前半は終わりました。

本気で関西フィルが変わろうとしているのか、ここまで急激に新しいことをやろうとして大丈夫なのか、いよいよ次はベートーヴェン……というところで終わってしまったのは残念ですが、これは仕方がないですね。

体調不良は事故のようなものですから、そのことに何かの意味づけをしても仕方がない。次の機会を待ちたいと思います。