大晦日から元旦にかけて、父がお陰様で退院したというので八尾で過ごす。
母がNHKの紅白を観ていて、巨大な舞台美術が自由自在に映像を映し出す巨大ディスプレイ(スクリーン?)になっていることに、しきりに感動していた。是非、映像論者に、これがどういうしくみなのか説明して欲しい。(会場でも、あの映像は全部ちゃんと見えているの?)
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さるポピュラー音楽学者によると、この紅白は「戦後が終わった」ことを実感させられるものであるらしく、
「これで戦後は終わった」というのは、これまでに何人もの人によって何回も様々なタイミングで繰り返しで言われ続けて、そのたびに「終わり」が流産しているという周知の事実、そして、その「何かを制覇した感じ」の実体が、阪大助教授に就任した輪島裕介の演歌本を手元に置きながら紅白を論評できるシアワセ、ライヴ嫌いでレコード歌謡礼讃のポピュラー音楽学会にあらざれば人にあらずな「我が世の春」の栄華な感じ(←平清盛風の?)に過ぎないのではないか、という疑念はさておき、
小谷野敦は、「平家物語」で平氏の公達の亡びに共感する感性というのは、つまりは男同士の絆のホモ小説なのではないか、と唐突に指摘するわけだが。
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わが家でこの紅白に最もヴィヴィドに反応したのが、高度成長まっただなかを生きて、大阪万博や花博が大好きな「戦後世代のおばあちゃん」であったことを、忘れずに記憶しておきたいと思う。
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途中で飽きたので、「らららクラシック」というのを初めて観たら、夏の松本の「ジャンヌ・ダルク」になって、山田和樹をちょっと見直した。
で、そのうち藤原歌劇団の映像に切り替わって、もはや日本ではお金がたくさん集まるバレエ団くらいでしかできないだろうと思っていた書き割りの背景で、観た瞬間に、これは「夢遊病の女」以外ではありえない、とわかるものだったので、びっくりした。
こういう舞台を作れるのは誰なんだ、と思ったら、演出は岩田達宗さんだった。なるほど。
その前の、とっても賢そうな二期会の「カヴァレリア・ルスティカーナ」(演出の田尾下哲さんはこれで随分誉められたらしいですね)との対照も面白くて、
NHKのクラシック番組、久しぶりに観たら新鮮に楽しめました。反則技みたいなグールドとクレーメルの共演もあったし。
あのゴールドベルクは、末木文美士先生の言う「死者とともに」生きている感覚ですよね。あの世、とか、どこか遠くへ行くのではない、という。
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死者の声・音の現前、みたいな感覚が今は妙にリアルだったりする、ということでしょうか。吉田秀和の番組は、死後も数ヶ月、録りためてあった分が続いたそうですし……。
死者の影がつきまとい、まるでお盆のような正月である。