ピーター・バーク『知識の社会史』

社会学者は、世の中のレギュラーとイレギュラーの間にとりあえずであれ線を引かなければ気が済まない性癖(そうしないと近代科学っぽい統計や理論ができない)から不寛容へ転じる危険をかかえていて、一方、文化史家は、友好的な宇宙人が地上に降り立って、世の中の「あたりまえ」にいちいち驚くようなユーモア(あっという間に陳腐化して役には立たたないかもしれないけれど)がある、と思ってしまうのは、私の偏見でしょうか。

知識の社会史―知と情報はいかにして商品化したか

知識の社会史―知と情報はいかにして商品化したか

西洋の知識論における「理論と実践」、「公然と秘密」、「自由と実用」、「普遍と特殊」、「読書で得たものと事物から得たもの」といった二分法、あるいは昔からの系統樹好き、最近の統計好きといった傾向を、レヴィ=ストロースが「生のものvs調理されたもの」の二項対立を語るときのような手つきで、決して自明ではないかもしれない人類学的特徴として列挙するところにグッと来ます(127頁以下)。