幕末鼓笛隊とドドンパとグリークラブ

実は今年は吹奏楽文献を読む授業というのもやっていて、奥中先生の幕末鼓笛隊のドラム譜解説を読み直したときには、アウフタクトのリズムに口唱歌を当てていることにちょっと感動した。(本が今は手元にないので譜例を揚げることはできないけれど。)

幕末鼓笛隊‐土着化する西洋音楽 (阪大リーブル037)

幕末鼓笛隊‐土着化する西洋音楽 (阪大リーブル037)

幕末の少年鼓手のみなさんは、弱拍から入って小節をまたぐリズムを、それと知ってか知らずか、ちゃんと、ひとまとまりにグルーピングして叩いていたらしい。

で、「どどんぱ」もそうみたいなんですよね。三連符の合いの手のあとの4拍目から小節をまたぐところを「どどんぱ」と把握している。(鈴木庸一の「東京どどんぱ娘」もそういう譜割りになっている。)

そうして昨夜のレコ大でも歌われていた平成のどどんぱは、どどんぱのリズムが鳴っているんだけれども、歌のほうはいわゆる「ぴょんこ節」で、どどんぱがアウフタクトにならないようですね。

なおかつ音の動きは「ドレドレ ミソミソ ラ……」とヨナ抜きの五音音階なので、なんだか、なにわのモーツァルトみたいだなあ、と思ったのだけれど、改めて確認してみると、かに道楽のほうは、実は「ぴょんこ節」ではなく、付点リズムとストレートな8分音符が書き分け/歌い分けられていて、バックにはうっすらと16ビートっぽい刻みが聞こえる。

キダタローせんせは、B級っぽいイジられ方をするけれども、グリークラブの折り目正しい歌唱スタイルでまとめている。(そのギャップがキダタロー。)そういえばこの歌、「と〜れとっれ、ピ〜チピッチ」という風なアーティキュレーションで記憶されてますもんね。べったりした「ぴょんこ」ではない。

[こういう話は、うかつに何か言うと、平等と博愛の戦後ニッポン人道主義者であるところの文化相対主義の人がすぐに文句をつけてきて面倒くさいので、これ以上深入りしないが(文句言うんだったら対案を出せっちゅうねん)、忘れないようにメモしておく。]