放送劇・テレビドラマ・音楽番組

ラジオドラマの録音とテレビドラマの劇伴、そして、音楽番組のために収録された録音は、いずれも放送局が制作するけれど、意味と役割が違うんじゃないか、ということを数日来考えている。

そんなときに『テレビが見世物だったころ』が出て、「テレビ」と呼ばれているものは、tube(ブラウン管)、broadcasting(放送)、program(番組)といったその構成要素がより新しい技術に置き換えられながら各々の道を歩み始めている現在から考えたときには、テレビを不可分の単体扱いするのではなく、諸要素の絡まり合いとみなすしかなさそうだ、という意味のことが最初に書いてあって勇気づけられた。

  • ラジオドラマの録音は、「聴くドラマ(オーディオ・ドラマ)」としての放送劇の主要構成要素
  • テレビドラマの劇伴は、「テレビがテレビであった時代」にしか成り立たなさそうな「テレビドラマ」という複合的なジャンルの、ながら聴きされるのが前提の副次的な素材
  • 音楽番組のための録音は、broadcasting されずに別のやり方での使用が可能な program

と区別できそうに思う。「放送のための音楽」と括らざるを得ないとしても、「ラジオ放送/テレビ放送」は雑種的な活動で、残された録音は対比や列挙できれいに構造化できる状態にはなっていない。

大栗文庫に入っている録音は、そういう観点から三者を区別して整理したほうがよさそうだと思っている。