以前『メディア技術史』を読んでこういう感想を書いたが、
http://tsiraisi.hatenablog.com/entry/20131104/p1
テレビ黎明期を論じた新著が出て、やはり、バルトークの工作好きを連想したのは的外れではなかったらしいと安心した。
- 作者: 飯田豊
- 出版社/メーカー: 青弓社
- 発売日: 2016/03/18
- メディア: 単行本
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導入部で、こういうことを言いたいときにはこういう先行研究に当たればいいのか!と蒙を啓かれまくる。
世が世なら「創られた街頭テレビ神話」というようなタイトルで出版されて、「厨年文系族」に瞬く間に消費されてしまいそうな話だが、20世紀の扉を開く数々の「発明」と工作文化、アマチュアリズムの絡み合いを読み解くところからスタートする議論の射程はもっと長い気がする。
技術の水準では専門家と非専門家の線引き、編成・構築があったとしても、それを活用するプレイヤーの水準では、「20世紀の発明品」は、しばしばずっと、アマチュアリズムに場所を提供してきたような気がする。
これは、ホビー、ユース・カルチャー、アイドルといった成熟しないことが強みであるかのような20世紀の文化領域の発生源を指し示す議論だと思う。