「音楽の国ドイツ」補遺:受容史とオトナの偽善(そしてそれぞれのお国事情・家庭事情)

[追記あり]

吉田寛先生の「音楽の国ドイツ」の序章を読んで、ダールハウスが歴史記述におけるナショナリズムのバイアスについて、いつもの冴えとの対比が訝しいほど何も言っていない、という指摘を読んで、アレ、と思った。

『音楽史の基礎』か他の本か、記憶が定かではないですが、第一次世界大戦前後の時期の音楽史記述では国や作曲家を軍隊になぞらえたような書き方がされていた、という指摘があったのではないだろうか。

あと、ドイツ人が他国の音楽・文化を語る際のバイアスについては、シューマンやワーグナーのパリ論やフランスのオペラ論に関して、繰り返し言及する「ネタ」があったと記憶します。

関連して、Fritz Reckow, "Wirking" und "Effekt". Ueber einige Voraussetzungen, Tendenzen und Probleme der franzoesischen Berlioz-Kritik, Musikforschung 33 (1980) という論文などがある。

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