大阪フィルハーモニー交響楽団第387回定期演奏会

ザ・シンフォニーホール。メインのベートーヴェン(交響曲第7番)は、おそらく指揮者の大植英次にとって、不得意なレパートリーなのだと思います。一番の問題は、メロディやフレーズ、そしてそれを積み重ねて大きな形式を組み上げるという感覚が欠けていること。音楽のそうした可能性に目をつぶり、いつも以上に、瞬間ごとの効果やリズムの躍動感を磨き上げようとして、いわば、前しかみない全力疾走、「面かぶりクロール」みたいな演奏になっていました。これも、「苦手科目」を切り抜ける、ひとつのやり方ではあるのでしょうか。

他に、ベルリオーズの序曲「海賊」とバーンスタイン「セレナード」(ヴァイオリン独奏:ロバート・ダヴィドヴィッチ)。こちらは、オーケストラに新しい課題を与える「受験勉強」風。大フィルをステップアップさせるトレーニング・メニューという印象で、一定の成果はあがっていたと思います。