*ほぼネタバレ。ご注意ください。
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「ブレードランナー」のレイチェルの髪型・肩パット等ビジネス・ウーマンの造形のネタ元はこの映画のジョーン・クロフォードだと町山智浩が書いていますが、
〈映画の見方〉がわかる本80年代アメリカ映画カルトムービー篇 ブレードランナーの未来世紀 (映画秘宝コレクション)
- 作者: 町山智浩
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日本ではのちに何度かテレビ放映されただけで、米公開時は、アメリカの暗部を日本に伝えるべきではないというGHQの判断で日本公開が見送られたのだとか。
フィルム・ノワールのシリーズでDVDが出ていたので見たのですが……、
音楽は最近学者の間で人気急上昇中のマックス・スタイナー。チャイコフスキーの「ロメジュリ」そっくりのテーマ音楽から例によってベッタリとフルオーケストラで音が付いていますし、お人形さんのようなアン・ブライスとか、頼れるおばちゃんイヴ・アーデン(「裏窓」の看護婦セルマ・リッターみたいな感じ)とか、見どころ満載。
で、ネタバレしますよ(笑)。
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溺愛してワガママに育った娘が貧乏を嫌悪して、彼女にとっての貧乏の象徴である母親を裏切る物語は、ほぼ同時期に木下恵介が撮った「日本の悲劇」そっくり。な〜んだ、あれは、日本の敗戦を背景にしなくたって作れる話なんじゃないか、與那覇潤のあの読み筋はやっぱり違うじゃないか(参考:http://d.hatena.ne.jp/tsiraisi/20120228/p1)と思ったのでした。(原作小説のミルドレッドの「アメリカの悲劇」は、ブラック・マンデーの金融恐慌で失業した夫(愛人あり)と別居して、ワガママ・セイタク・オペラ歌手志望の娘を女手ひとつで育てねばならなくなったところからはじまります。)
GHQが1945年に日本で公開しておけばよかったですね。
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でも、この1945年のアン・ブライスとか、1948年「情婦マノン」のセシル・オーブリーとか、1953年「日本の悲劇」の桂木洋子(同年、黛敏郎と結婚)とか、この時期に小悪魔映画が各国で出たのはどういうことなんでしょう。
かわいい女の子は恐い。身ぐるみ剥がれる(笑)。
イイ歳した音大・女子大音楽史講師&ローカル音楽評論家の分際では、家出したワガママ娘を保護して、「この一ヶ月であの娘の扱い方がわかったよ」とか言ってる不動産屋のオッチャンの立ち位置くらいで十分です。
そういえば扇雀(現坂田藤十郎)が昭和24年に曽根崎心中復活上演の小春で大当たりを取ったのも、自分から徳兵衛の手を引いて先に歩き出すような「現代っ娘」だったかららしいですが。
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