大阪センチュリー交響楽団第101回定期演奏会

ザ・シンフォニーホール。金聖響が指揮すると、アンサンブルが引き締まりますね。オーケストラが、前任常任指揮者、高関健の時代に近い能力を発揮しつつあるのではないでしょうか。

彼がこのところ集中して取り組んでいるベートーヴェンは、回を重ねるごとに、どんどん「普通」の部分が削り落とされていく印象(今回は、交響曲第8番、第2番)。ノン・ビブラートの弦楽器は、カクカクした直線の組み合わせでフレーズを作り、管楽器やティンパニーが、唐突さを怖れることなく、楽譜の音を(やや強調して)鳴らして、音響にデコボコを作る……。「ベートーヴェンの時代」に由来するとされる素材を用いた、抽象的なオブジェになりつつあるようです。

満員に近い客席は、他のクラシック演奏会に比べて、普段着の方が多かったように思います。

センチュリーの演奏会は、ロビーで繰り返される、「センチュリーグッズをどうぞ!」と妙に活説の良い男性のアナウンス・テープや、「上方楽語辞典」コーナーに象徴される、庶民派風のパンフレットなど、独特の雰囲気があります。

あたりさわりのないことをおしつけられる感じは、どこかテレビ的(「オッサン」ぽいセンスは桑原征平風?)。小泉和裕や天満敦子だったら、こういう「ファーストフードの大盛り」みたいなノリでも良いのかもしれませんが(失礼!)、金聖響の、良くも悪くも、極めて精巧な音のオブジェには、もっと、シャレたレセプションを用意してあげれば良いのに、と、センチュリーの演奏会に行くたびに思います。