虎の威は借りない

あの人はこんな素晴らしいことを述べている、この人はかように感動的なことを言っている、と並べて、それらを引用する自分を鼓舞するのは、おそらく心の状態があまり安定しておられないのであろうと勝手に推察することにして(話かみあってないし……)、

(補足:「わかる人にだけわかればいい」と芸術家がうそぶいたとしましょうか。そのときに、ああ私は芸術家じゃないからわからない、部外者なんだなという断念(自他の区別)から実証と推論の道がはじまる。「我」は彼ならず、全知全能ではない。逆に、そうそう俺にはわかるよ!と擦り寄る自我融合はオカルトの入口。当人には麻薬的な救いかもしらんけれども……。前門の虎後門の狼。それくらい当然悟っていると思ったが。)

まったく別の話を少しだけ。

いずみホールで聴いたツィメルマン、生き急ぐ感じのハーゲンQを当惑させつつ、スローライフなイマジネーションをマイペースで振りまく不思議なアンサンブルだと思いました。身をすり減らしながらアグレッシヴな芸人根性で世界を巡演するのも、すり減らない人生を守ろうとするのも、どっちも同じくらい大変なんですね。

……原稿に戻ります。