新学期が動き出したと思ったら、連休前なので早めに、という〆切が迫って来て、時間がないのでリンクのみ。
その1:芦屋と東京の大井浩明さん
歌舞伎も文楽も、東京では通し狂言が好まれると聞いたことがあります。ワーグナーのリングが受けるのも、土地柄なのかなあと思ったりして……。
とりわけ首都圏では、あるものすべてを買い占める、ということがリアル・ワールドで難しくなりつつある御時世だと伝え聞いておりますが、そういうときこそ現実の代償行為としてのアートの出番。クセナキスもリゲティもシュトックハウゼンも、商品棚の端から端まで全部「大人買い」する快楽を満喫させてくれそうです。
世紀末のパリとか、1920年代のアメリカ東海岸とか、倉敷の大原総一郎さんとか、本物のパトロンは、最後にモダン・アートへたどりついて、満願成就になるようです。(それがアレックス・ロスの音楽史のキーワードになっている「芸術の政治学」。)エルメスやシャネルでお屋敷のウォーキングクロゼットが埋まっている高級ブランド店の上得意客のさらに上を行くエグゼクティヴ企画(なのかも)。
モダン・ボーイは戦時中もジャズを秘かに聴いたといいますし、N響(当時、日響)は戦争末期から終戦直後にかけてでも定期演奏会が途切れなかった。そういう風に、アートとカルチャーに魅せられた筋金入りの人がきっと首都圏にはいるはずだ、ということなのだろうと思っております。
大々的に盛り上げる、というのはちょっと違うのかもしれませんが、琴線に触れる人はいるはず。断固として行く、という感じになるのでしょうか。まあしかし、あまり難しいことを言わずに普通に面白そうだと思います。
バレエ・リュスの連中は「ハルサイ」初演の騒動でメゲるほどヤワではないだろう、とか、ストラヴィンスキーのベッドシーンを俯瞰で大々的に観たいかなあ、とか、ファッション業界目線の設定で、ロック・スターの物語にアール・デコのコスプレをかぶせたような感触ではありますが、その分、ココ・シャネルの強さは際立つ。
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その2:大栗裕の「挽歌」と「吹奏楽のためのディベルティメント」
フィルハーモニック・ウインズ大阪(オオサカン)の4/30の第10回記念定期演奏会。
リンク先ページの文字情報では、大栗裕の「神話」その他、とあるだけですが、チラシの画像をクリックして拡大すると、他に、大栗裕の「挽歌」(母校・天王寺商業の辣腕顧問だった高丘黒光先生への追悼曲)と「ディベルティメント」(大阪音大吹奏楽団のための作品)もやるようです。行きます。指揮、木村吉宏。
この音楽は、はじめ「若人の悩みと喜び」という副題をつける予定だった。然しこのサブ・タイトルよくよく考えると、あまりに気障っぽく、なにやらテレくさくなって取消してしまった。[……]現代の若者たちが何を考え、何を行動しようとしているのか。自分が青年時代において経験してきたものと、現代を比較することによって、ああであろうか、こうであろうかとの想像を音に表現してみたのがこの音楽である。(大栗裕「「吹奏楽のためのディベルティメント」について」、1969年)