今日しゃべったことをもとに。無断引用は禁止ですよ。
「公共政策論」メモ - インタラクティヴ読書ノート別館の別館
いつも秘かにブログの講義ノートを熟読・勉強させていただいているのですが、無断引用??
「無断引用」の意味(その2)
著作権法の範囲を逸脱した「盗用」(剽窃、盗作)「無断転載」などの意味を覆い隠すために使用される言葉。こちらの意味では、比較的広く用いられ、新聞などで用例があるという。
無断引用とは - はてなキーワード
どうやら、「無断引用」という不思議な言葉の実体は剽窃・盗作であるようです。
文化庁によれば、適切な「引用」と認められるためには、以下の要件が必要とされる。
[……]
このうち、出所の明示については著作権法の第48条に規定されており、後述する引用以外の合法な無断利用を含め、共通の必須事項である(これを怠ると剽窃とみなされる)。
引用 - Wikipedia
冒頭のリンク先の「無断引用は禁止ですよ」の意図は、出典を明記しないパクリはダメ、レポートに自分が考えたことであるかのように丸ごとコピペしてそれっきり、なんてことをしてはいけないよ、ということなのだと思います。
ということはこれは、
かつて学校内の暴行を「イジメ」と言い換えたり、中高生の売春を「援助交際」と言い換えたように、教育機関においては、剽窃・盗作が、「無断引用」と婉曲(なのか?)に言い換えられつつある、ということなのでしょうか。
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でも、万引きが窃盗であるように、出典を明記しないパクリは剽窃・盗作。
文学史の過去の事例は盗作の特定が困難(当該作品の「文学的価値」を貶める決着のつかない議論で終わる場合が多く、法的係争に至るケースは少ないみたい)であることを教えてくれますが、
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そういう「文学史」を構成する高級な議論はさておき、稚拙で露骨な丸写しはすぐにバレます。
世間は広いですから、怪盗ルパンさながらに華麗な大泥棒さんや、警察も手を出せない大悪党さんがいらっしゃるのかもしれないけれども、近所のコンビニの万引きの常習犯は、かなりの確率で補導されたり、捕まったりしているはず。
同様に、出典を明記しない丸写しのレポートは、妙に新しい言葉をひねり出さずに、剽窃・盗作と呼べばいいのではないか。
……とは思うのですが、個々にデリケートな問題が色々あるのでしょうね。
「無断引用」というのは、言葉として変な気がしますが、剽窃という難しい漢語(私も書けない)より、こっちのほうが通じるし、通じない言葉を使っても実行力がない、ということでしょうか。
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「丸写し」に自分の名前をつけてレポート提出するのは、効率の問題ということだけでなく、どーせ教師は「私」に興味はないのであろう、という諦念の裏返しのような気もします。出力結果が稚拙であったとしても、学生を個体識別して、それを肯定する。そういうコミュニケーションのベースがないと、状況は本質的には変わらないかもしれませんね。
(話は飛びますが、大演奏家(とされる人物)を引き合いにだして日々のコンサートを一刀両断にするのが不毛に思えるのも、そこに、個々のコンサートを行っている演奏家を個体識別しようとする意志が見えないからであるように私は思います。
単に書き手としてのモチベーションを維持するための幻想・思いこみに過ぎないかもしれませんが、わたしは、演奏の巧拙・好き嫌いとは別の問題として、個々の演奏・演奏家を何百・何千であろうとも、かならず、個々に聴き分ける・書き分けることができる、できなければならない(言い換えれば、個々の演奏を「他と置き換え可能なサンプルのひとつ」として自動処理しない)というつもりで演奏評を書いております。学生のレポートの評価も同様。
たとえ幻想・思いこみであったとしても、それが、わたくしの請け負った仕事の本分(←といっても、使命・大義ということではなく、そういう約束で仕事を受けている、という程度の意味ですが)なのだと思っております。やり通そうとすると、慣れない頃は、時間と手間がかかって死にそうでしたし(菊池洋子は「これが(プロとしては?)2度目のリサイタル」というのを昔、栗東で聴いた)、逆に今は、そろそろ「慣れ」に気をつけないと若ボケしそうな頃合いなのかも(プロの評論家さんジャーナリストはたいてい高齢でもお元気ですが学者気質の人には「若ボケ」で50歳からワンパターンになる人が少なくないようなので)、と心配が絶えず、だからこそ、違う意見の同業者が出てきて欲しい、あいつはもう焼きが回った、とか、どんどん悪口を言われたい!と切望しているのですけれど。きっとそういうのが「公共性」の芽みたいなものなのだと思いますし。)