アーツマネジメントという文明の知恵

「大衆が楽しんでいる芸術には税金を出してはいけない、市場がせっかく成立しているその芸術マーケットが混乱するから」

[中略]

これは公務員が劇場担当になって、テレビタレントが出るような演劇公演をしたいとか、売れている歌手のコンサートをしたいとか、劇団四季にお金を出して来てもらうというような愚かな行為をする時代が1990年代まではあった。

「税を投入するならもっと大衆が楽しめるように」vs.「大衆が楽しんでいる芸術には税金は出せない」 : 【こぐれ日乗】京都橘大学芸術営=アーツマネジメント公共政策/都市デザイン/地域文化環境

なるほど。

シモン・ボリバル方式の国家プロジェクトの影で私設音楽学校を閉じることになった黒沼ユリ子さんのお話を考え合わせると、「公」がうかつに手を出し、掻き回すことに慎重であるべき領域がありそうです。

http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2012-08-01

「無知な市長は引っ込んでろ」と罵声を浴びせるのではなくて、「あなたはもうこんなに大きく立派になったのだから、オトナの遊びを教えてあげましょう」と、経験豊富なお姉さんが優しく導いてあげるような言い方があるんじゃないか、ということですね。

「人間国宝に会いたい、一目でいいから会いたい、会わせてくれ〜!」と猛烈なラブコールを送ってギンギンに暴発寸前な男の子を上手にあしらう行為には、文化というより文明の語がふさわしい。それこそがアート(熟練の秘技?)というものなのかもしれません。

(仲を取り持つべき文楽協会が万事心得た置屋の女将みたいだったら、ここまで騒ぎを大きくせずに済んだんじゃないか、発端はつまらない行き違いだと思うんですけどね。遊び慣れない客なんて、どこの世界にもいるのだし。)

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樋口一葉にだって、こんな話があるのだし。
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ラヴェルが作曲したロシア・バレエだと醜い脇役でしかないけれど、原作でダフニスくんが森の中で出会うのは……。こうして男の子はオトナになるわけだ。

商店街のおじさん・おばさんからお金をせびってプールでピチャピチャ水遊びをしたい徹ちゃん&太一くんと、彼らに罵声を浴びせることでストレス解消できた気になる悪ガキくん。どっちが先に「オトナの階段」をのぼるか、競争だ、ヨーイドン!

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どうせなら、道頓堀で泳ぐより、カプリ島の別荘でブリジット・バルドーから軽蔑されたい。どのみち、ガキの妄想ではあるけれど。