衣装を脱ぎ捨てろ!

「魔笛」にお掃除おばちゃん登場。やっぱり、今、オペラはお掃除おばちゃんですよ。

しかも、パミーナとベンチに並んで座った!(いったいどの場面がそうなるんだ、と思われるでしょうが、そうなるんです。)

が、「革命」はドキドキしますね。段取りとして次にどうなる、ということがわかっていても、演じている皆さんが、自分のなかからそういう感情を生み出さないとそこへたどりつくことはできない。今時の日本人に「革命へ向かって進む」というような感情の語彙があるのか、と、客席で見ながらハラハラしてしまいました。

「魔笛」のどこで革命が起きるのか、ますます意味不明かとは思いますが、でも、この「段取りとして、こうして、ああして、ああなる」というのではなく、役者が「次」へ自ら動く。そして見ている側も、筋を知っていたとしても、本当に「次」へ進むのかどうか、実際にそうなるまではわからない、人間の「行動」をその場で目撃する、というのは芝居の原点ですよね。

音楽も、流れにノルだけでなく、能動的に状況を切り開くアートになりたい、と願望した結果が近代のあの展開であった、と説明されることがありますし(「鳴り響きつつ動く」はそういうこと)、それをドラマと呼ぶわけですね。

……と、西洋流芸術理論の基本をちょっと思い出した。

そしてコンヴィチュニー・ワールドでは、女性は最初に行動する存在という位置づけになっているみたい。掟や段取りで他者を縛るのではなくて……。普段は好奇心旺盛なお掃除おばちゃんですけれど(笑)。