3つまでなら覚えられる!

広告文化に毒されると学者も「受ける」プレゼンを工夫する。「講演のキーワードは3つまで」とか、売り出し中の頃の岡田暁生や伊東信宏はよくそんなことを言っていたが、舞台にしばしば「3(人)」が出てくるのもそれではないか。

一発勝負の舞台にあまり多くの人間が出てきても覚えられないし、かといってこのキャラが一人なのはおかしい、3人くらいが丁度良い、ということがあるんだと思う。

キリスト教の三位一体というのがあるから、ヨーロッパの神話や超自然現象に「3」が出てくるとビクっとするけれど、寺の仏像もしばしば3体ひと組だし……、覚えてもらいたいものは3つくらいにまとめる、というレトリックもしくは心理学があるんじゃないだろうか。

3人だったら、それぞれを個体識別することもできますしね。新人を脇役の3人の乙女でデビューさせて、観客の受けが良ければ次は単体の役を与える、みたいなことも考えられそう。

(そしてエレクトラで侍女が3人ではなく4人もいるのは、爛熟した世紀転換期のお芝居は、ちょうど三和音がワーグナーで四和音、シュトラウスや新ウィーン楽派で五和音、六和音へとインフレを起こしたようなキャスティングのインフレかもしれない……。)

[マクベスの魔女が合唱である理由の説明にはならないけれど。]