「弦ベ」とブラス・サウンドの高層化

ジャズのウッドベースは限りなくリズム・セクションだけれど(ビル・エヴァンスはベースを対位声部に昇格させた、というような話が例の岡田暁生のジャズ本に出てくるんじゃなかったっけ?)、吹奏楽の「弦ベ」は、いわゆるシンフォニック・バンドやウインド・アンサンブルで低音パートを増強してサウンドの三角形(フランシス・マクベスが提唱したような)の底辺を広げて、間接的に三角形の頂点を高くするアイデアだったのではないだろうか。

精神分析や健康な食事がもてはやされる北米流の「(疑似)科学とプラグマティズムの蜜月」な時代には、サウンドの工学に皆が熱心で、それでコントラバスを吹奏楽に入れるようになったのではないだろうか。([要出典]だが、コレステロールが「身体に悪い」みたいな感じに、コントラバスはその倍音が「身体に効く」と信じられているのではないかしら。)