「まさかもう、獅子に似ているとは思えまい。」

アガウエー あ、これは何? 私が両手に勝ち得たこのものは何なのか?
カドモス それをじっと見つめよ。そしてもっとはっきりと認識するのだ。
アガウエー 比類なく大きな苦しみを、無残にも私は眺めている。
カドモス まさかもう、獅子に似ているとは思えまい。
アガウエー いいえ、みじめな私がかかえているのはペンテウスの首。

(エウリーピデス/逸身喜一郎訳『バッカイ バッコスに憑かれた女たち』)

古代ギリシャのデュオニソス崇拝は難儀なことになっていたようですねえ。エウリピデスはニーチェの百万倍偉いんとちゃうか。

「亡命」したい人は(=承前)、行った先で買いたたかれないように、しっかりした教養を身につけとかなアカンよ。

バッカイ――バッコスに憑かれた女たち (岩波文庫)

バッカイ――バッコスに憑かれた女たち (岩波文庫)

三輪眞弘さんにこの話をオペラにして欲しいなあ。