IFの領域

「もし○○が今生きていて、この問題を考えたとしたら……」

という仮定にどう対応するか。

残された著作等から、いわばその人物のクローンを再生するように○○の思想を再構成して、そのようなクローンに当該の問題をインプットしたらどうなるか、とシミュレーションするのは、バロック以前の伝承が途絶えた音楽のリバイバル(=楽譜や文献や遺留品から楽器・奏法等を再構成して演奏する行為)に似ている。

他方でしかしもちろん、その思想や音楽自体は伝承が途絶えているが、その音楽が次の世代に何らかの影響を及ぼして、さらにそれがその次の世代に……という数珠つなぎで数百年間の「歴史」が現在へつながっている、と考えることもできる。つまり、実証的な歴史は、「331歳のバッハ」や「292歳のカント」を扱っていると言えないこともないかもしれない。

あるいは、時空の相対性ということがあるのだから、地球時間では400年だが、○○という人物が地球外の生命体に連れ去られて数百年の時を経て地球に戻ってきたと仮定して、その人物がどのように振る舞うか、を考えるSFもあり得るかもしれない。(地球外に連れ去られたので、地球についての知見は数百年前で止まっているが、その分、地球外での諸々を経験してパワーアップした○○、というのを想定するわけだ。)

わたしを含めておっさんの考えることは、どうしても「20世紀的」になってしまうが、21世紀には、21世紀なりの過去の利用法があるかもしれない。

参考:
「新しさ」の20世紀と「リバイバル」の20世紀 - 仕事の日記