巻末の謝辞には、取材先・資料提供者として、高島忠夫や飯守泰次郎と並んでわたくしの名前が入ってしまう巡り合わせになっておりますが、
本文を読むと、留学までの神戸、関西学院時代で既に、惜しげもなく次々登場する名前に圧倒される。関西に限定されない人脈のネットワークが見えてくる。
岡田暁生の言う阪神間山手モダニズムとは、ハイカラ都市神戸のキリスト教会が結節点のひとつになって国内外に毛細血管のように広がる網の目の中で生きることなのだなあと思います。
退職した私立大学教員が芦屋の南のほうに作った道場を豪邸と形容して叩くネット民の感覚とは、全くかけ離れた光景だと言わざるを得ない。
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(そしてこれは、同じ阪神間の音楽家といっても熱心な仏教徒、奈良二郎の息子だった貴志康一を見ているだけでは浮かび上がってこない水脈だと思う。貴志康一が学んだ甲南高校は無宗教で、大澤壽人の通った関学、彼が教鞭を執った神戸女学院とは気風が違う。貴志康一の死後の再評価を手伝った朝比奈隆もリベラルな東京高校から京都帝大で、阪神間のキリスト教人脈とはつながらない。そして日曜学校が次第に教会としての体裁を整えていく時期の関西のプロテスタントのコミュニティは、例えば、若い頃から柴田南雄を魅了しつづけたユニヴァーサルなカトリックの典礼とも違っているように思う。)
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