「ポスト・ベートーヴェン時代」のコンチェルト鑑賞

ヴァイオリンつながりで、もうひとつ。

Violin Concertos 1 & 2

Violin Concertos 1 & 2

バックの棒は大植英次だ。

京響定期の事実上のメインはバラティのパガニーニでしたね。

シンフォニーのソナタ形式を想定していると散漫に思えてしまう長大な第1楽章も、小岩信治氏のポスト・ベートーヴェン時代のコンチェルトの標準形についての解説(第3、4章)があれば、もう恐くない。ここでの議論は、ポスト・ベートーヴェン時代最大のスターであったパガニーニのヴァイオリンのためのコンチェルトにも通用します。

展開部というか「第2ソロ」でパガニーニはいったい何をやってくれるんだろう、と期待しているといつ終わるとも知れぬ盛大なパレードになる。同時代のピアニストたちのコンチェルトのあの手この手を考えれば、パガニーニの第2楽章など、むしろ節度があるエレガントな実例なのではないかと思えてくる。

ピアノ協奏曲の誕生 19世紀ヴィルトゥオーソ音楽史

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