現場で行われた2つのスピーチ、本山秀毅(びわ湖ホール声楽アンサンブル専任指揮者)と平松邦夫大阪市長(大阪フィル「星空コンサート」)

昨日の文章は、午後からびわ湖ホール声楽アンサンブルの定期演奏会に行って、そのあとで書いたものです。批評を書くので、内容・感想はここには書けませんが、指揮は専任指揮者の本山秀毅さん。物静かな印象の方ですが、休憩後に「今日は、いろいろ騒がれたあとのホール2回目の自主公演、節目の大切な演奏会です」と熱く語っていらっしゃいました。
音楽監督の沼尻さんは、「声楽アンサンブルを若手オペラ歌手の養成機関にしたい」と、まるで、びわ湖ホールに「二期会滋賀県支部」を作ろうとするかのようなご発言を就任時にしていらっしゃいましたね。

そういえば、びわ湖のプロデュース・オペラは、指揮者や多くの出演者が東京在住だということで東京で稽古をしていると以前聞きました。むしろ、東京でやる方が、皆さんに滋賀へ来ていただくより経費がかからないのだとか。そして若杉さんの時代のヴェルディ・シリーズは、毎回、東京オペラ・シンガーズが出演していましたから、本番の合唱で、声楽アンサンブルはサポート的な位置づけ。メンバーの皆さんは、今まで色々思うことがあったんじゃないのかな、という気もします。

以前から、びわ湖ホールは、大ホールのオペラ本公演だけでなく、小ホール(定期演奏会)や中ホール(青少年オペラ)の声楽アンサンブルをちゃんと盛り立てることができるかどうかが重要。そこが、地元に愛される劇場になるかどうかの鍵ではないのかな、と思っていました。(そういう趣旨の文章をホールのPR誌に書いたこともあります。)

今回は(今回も?)、ごひいきのお客さんが集まっている客席の雰囲気で、曲目も充実していて、メンバーも5名入れ替わって、本山さんのスピーチはそういうなかで行われた、地に足の着いたものでした。

(そのあとだったので、大阪の知事さんの「大阪城の桜にはお琴が似合う」発言を見つけて、なんじゃそりゃ、と思ったのでした。)

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大阪城の大フィル「星空コンサート」のほうでは、平松市長の挨拶があったようですねhttp://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2008-04-27。さすが元MBS看板アナウンサーの平松さんはスピーチが上手ですね。声のトーンが落ち着いていて、下品にならない関西風アクセント。

(平松さんがどこのご出身なのかは知らないのですが、大阪市内の言葉は、いわゆる上方漫才が誇張して使っている河内弁とは別らしいです。ちなみに、「赤い陣羽織」を演出した武智鉄二は、大阪キタの生まれではありますが、大阪の歌舞伎に河内弁の地口を入れて安易に大衆化することには批判的だったようです。「陣羽織」の笑いは漫才系ではなく、狂言系でしょうね。大阪=ヨシモト流のお笑い、というのは、文化史的にも、多分に誤解を含んでいる気がします。)

橋下知事を批判する人への醒めたツッコミとして、「大阪府民が自ら彼を選んだじゃないか」というのがありますが、彼が支持されたというより、対立候補がダメだった=大阪民主党の自滅、という面があったように思います。(知事選での民主党の自滅は、センチュリー問題が「応援する会」の出現で、アレ何か変だぞ、となったのにちょっと似ている。)

大手メディア(メディアを通して「お笑い」を提供するエンターテインメント企業を含む)が「大衆の味方」である、というのは幻想で、自民党と大手メディア系タレントが組めば最強で何でもできるし、自民党さんに、そこまでしてでも守りたい何かがあるのだろう、というのが、今の状況という気がします。(劇場叩き上げの芸人さん、横山ノックや西川きよしが政治家になった時代とは状況が違う。大阪は「エンタメ」だったら何でも支持するアホな土地柄で、その土壌があるから橋下氏が当選した、ということではないと思う。)

大手メディアにフィットしない文化を全部切って、「絵」になる企画(御堂筋のイルミネーションなど)を推進する、ということで、知事さんの立場ははっきりしているように思います。そのうちITゼネコンと組んで、実際に大阪城西の丸庭園に足を運んでくださるような方々(勝谷誠彦だったら「良民・常民」と言うであろうような)にはメリット・ゼロだけれど、マスコミのウケは良さそうな企画(昨年の奇妙な「セカンドライフ」騒動みたいな)へお金をつぎこんだりするのではないでしょうか。

それでいいのか、というのが問われているのでしょうね。