平成19年度(第62回)芸術祭総覧、第50回大阪国際フェスティバルの大植英次指揮、大阪フィルハーモニー交響楽団(6月7日)

●芸術祭総覧のこと

平成19年度(第62回)芸術祭総覧というものが手元に届きました。昨年度の芸術祭の公式報告書のようなものなのだと思います。芸術祭というと、参加申請に書類を作るのが大変とか、色々なご意見もあるらしいのですが、とりあえず審査経緯などは、この「総覧」という冊子にまとまっているようです。

文化庁のサイトhttp://www.bunka.go.jp/geijutsu_bunka/geijutsusai/19_geijutsusai.htmlは、受賞者の名前などしか出ていませんが、「総覧」には、それぞれの公演の贈賞理由と、審査経緯のレポートも出ています。

この冊子がどれくらいの範囲に配られているかはわからないのですが、大きめの公共図書館などでは閲覧することができるのではないでしょうか。関心のある方はどうぞ。

●大阪国際フェスティバルの大植・大フィル

プログラムに、昨年のベートーヴェン・チクルスのことを中心とする大植英次論を寄稿させていただきました。大植さんと大フィルの演奏が変わりつつあるという思いがあって、そのことを書きました。

[...]ところが様子が変わってきたのは第2楽章あたりからである。しなやかに歌うレガート・モーツァルト!大植さんの意図が次第に理解出来るようになってきた。[...]

大植英次/大フィルの「リンツ」、「巨人」: エンターテイメント日誌

私の文章は、大植英次の音楽は「優しい」、ということを言おうとしておりまして(前にこのブログに書いたことから微妙に軌道修正しております)、当日の「リンツ」の演奏(私自身は他の仕事があり聴いていません)についてのこういう感想をみつけて、私の書いたことは、それほど外してはいなかったのかな、と安心しました。

しかも、

これで終了かと思いきや、大植さんがアンコールで「花の章」を演奏しますと喋られた。

大植英次/大フィルの「リンツ」、「巨人」: エンターテイメント日誌

映画のパンフレットやCDの解説は作品が完成してから書くものですが、演奏会プログラムの文章は、本番が始まる前に、「こういう風になるかな」、「こうだったらいいな」と想像しながら書く、「賭け」の要素があるといつも思っています。(ちなみに、今回の文章の〆切は大植・大フィルがラフマニノフ「交響的舞曲」の凄い演奏をやった4月定期よりさらに前でした。)

演奏会が「花」で終わったのは、文章の締めに「お花畑」という言葉を使ったわたくしとしては、望外のサプライズでございました。

なお、私の文章の2ページ右の段の真ん中当たり、「2回目と3回目」は、「1回目と2回目」の間違いです。お詫びして訂正します。すみません。

マスコミが大きく報じた体調急変による定期演奏会キャンセル劇(指揮者がいない異例の演奏)は、ベートーヴェン・チクルス2回目と3回目1回目と2回目のあいだの6月半ばなので、単純に身体をかばって演奏が変わったわけではないだろう。何が起きたのか、真相はわからない。

私は他の仕事があり両日とも行けないのですが、今週の定期演奏会もどんな感じになるのか気になりますね。