大阪フィル補助金大幅カットは見送り、「大植英次〜大阪と見た夢〜」が無事放送されました

大植英次スペシャルコンサート特別番組「大植英次〜大阪と見た夢〜」は、いよいよ今晩深夜25時34分から2時間枠で放送されますよ〜!ABC朝日放送、残念ながら関西だけの放送です。監督就任の「復活」や、第1回星空&大阪クラシックなども見れます。勿論ブル8も、ね!

大阪フィルハーモニー交響楽団 on Twitter: "大植英次スペシャルコンサート特別番組 「大植英次〜大阪と見た夢〜」は、いよいよ今晩深夜25時34分から2時間枠で放送されますよ~!ABC朝日放送、残念ながら関西だけの放送です。監督就任の「復活」や、第1回星空&大阪クラシックなども見れます。勿論ブル8も、ね!#osaka_phil"

ということで、「探偵ナイトスクープ」が放映されてからさらに1時間後の金曜深夜(23日の早朝)に無事オンエアされました。

忙しくてニュースを見逃していたのですが、20日には大阪市の大阪フィルへの補助金大幅カット(25%減が通告されていた)が事実上撤回され、補助金減額は10%に抑えられる模様。

「大阪と見た夢」は深夜の放送だったので、とりあえず録画したけどまだ再生していないという方も多いかと思います。週末にいい流れでご覧頂けるのではないでしょうか。

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辛抱強く最後まで見ておりますと、私の名前が「構成」と仰々しくクレジックされていますが、ナレーション台本作りのお手伝いをさせていただきました。(父親がマジで危ないかも!というときに「星空コンサート」へ行ったのは、作文する以上行っておかねば、というつもりもあったのでした。http://d.hatena.ne.jp/tsiraisi/20120613/p1

でも、そんなことよりなにより、コンサートも、その前のコーナーも、「絵」を本当に丁寧に作ってくださっているように思いますので、そちらをお楽しみいただければ。ブルックナーは、残念ながら時間の都合で第2楽章をカットしていますが、それでもCM込みでたっぷり2時間番組です。

3/31当日は「音楽だけで言葉はいらない」という姿勢を通した大植英次が、まじめに色々語っています。

(ちなみに、CMがあるので2時間枠といっても今回のかなりじっくりしたテンポの演奏を全曲収めるのは無理。そういうものなのだそうです。もちろんテープは全曲すべて回っていて、第2楽章カットは、収録後に演奏時間が当初の予想より長かったがゆえの苦肉の判断であるようです。

「素材があるなら、DVD出しましょう」と言って下さる会社があれば、ABCさんは喜んで素材提供してくれるんじゃないでしょうか。あとはそれが商売として成り立つかどうか。全曲でなければ意味なし!という熱いファンの皆さまにおかれましては、こういう映像が世に出るように音楽ソフト業界へ働きかけるのが早道かと思います。「オレが○○枚売ってやるから、赤字には絶対にならない、安心しろ」と保証してくれたら、物事は動くと思います。

以下余談ですが、

そういう意味では、限られた時間枠に何をどう出すか、色々なファクターがせめぎあっている広域商業放送というメディアは、ライヴ・パフォーマンスに近い性質があるのかもしれませんね。

現代メディア史 (岩波テキストブックス)

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一方で、音盤や映像ソフトは、「もの」ですから、蒐集意欲をかきたてるところがある。○○を全部そろえたい、コンプリートしたいと考える方々には、おそらく、こちらの方が向いているんだろうと思います。

「全曲演奏」を売り物にするコンサートが出てきたり(一説によると、世界都市・東京では大阪などよりはるかにこの傾向が強いと聞く)、放送が手軽に録画できるようになったり(ちなみに今回の放送は、音質を損なわないためにDVDではなくブルーレイで保存するのがお薦め、とスタッフさんが言っていました)、演奏の前後は完全な沈黙によって仕切られていることが良しとされたり、世の趨勢としては、ライヴパフォーマンスであったとしても加算可能で蒐集意欲をかきたてる「もの」に近い性質を帯びていることを求める力が強く働いているように思いますが……、

どうなんですかね。

最近世に言う「データベース消費」とか、ビジネスの向かう先だとされる「ゲーミフィケーション」ということで、どんどんこういう傾向が強まっていくのでしょうか?

私自身は、大栗裕のほんの数秒の声や、マリア・カラスのほんの数十秒間だけの「椿姫」の動画とかを見つけるとそれだけで嬉しいというように、断片やディテールのマニアなので、「データベース消費」や「ゲーミフィケーション」という大量の「もの」ありきの消費の感性がよくわかりません。

(スタンプカードを作って、2012年度大フィル定期をコンプリートした人には大植英次スペシャル・コンサート全曲完全版DVD(非売品)をプレゼント、とか、そういうのをやるのが当世風だ、ということになっていくのでしょうか?)

動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)

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ゲーミフィケーション―<ゲーム>がビジネスを変える

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断片やディテールに萌えてくださる方々には、「大阪と見た夢」という番組、がっつり凝視してお楽しみいただける絵がぎっしり詰まっていると思います。

もちろんそれは、「構成」という名の台本書きのバイトくん(=私)がボーっとしている間に、番組制作スタッフの皆さまが猛烈なお仕事をした成果です。)