拍手問題に関して、速攻で罵倒を頂戴いたしました件につきまして

http://twitter.com/cognoscenti/status/215947150507515904

勘違いされてしまったようですが、わたくし、大フィルのプログラムに「拍手は演奏が完全に終わるまでお控えください」と書いてあるとは、cognoscenti様のご指摘を受けるまで気付いていませんでした。

2つ前の文章を書いたときに、「拍手のやり方を誘導する主催者」として想定していたのは大フィルではありません。懇切丁寧な初心者ガイドがプログラムに出ている兵庫芸文のオーケストラです。

そして私の考えでは、現状でコンサートの主催者が拍手のやり方についてのガイドラインをプログラム等に書かねばならなくなっているのは、「そうして欲しい」と主催者が心の底から思っている場合もあるでしょうけれども、世論に押されている面があるように思っています。

いわゆる「フライング拍手」があると、主催者やホールに、何とかしろ、とクレームをつける熱いお客様がいらっしゃったりするみたいですよね。で、そうしたことが深刻なトラブルへ発展しないための対策として、現状での落としどころとしてはプログラムに一言添える、あるいは懇切丁寧なコンサートマニュアルを掲載する、等々ということになっているのだと思います。

(長年のクラシック・ファンが一定数いると思われる大フィルの場合はトラブル防止のニュアンスが強く、兵庫芸文の場合は、クラシックコンサートに不慣れなお客様がアタフタして、周囲の厳しいクラシック通な方々から批難を目を向けられてしまい、「クラシック・デビュー」が悲しい思い出になったりするといけないので、優しく導いている、という感じでしょうか。拍手ガイドといっても、団体ごと、コンサートごとにそれぞれですね。)

でも、コンサートの客席の雰囲気がそういう風ではなくて、例えば、自分が思っているのと違うタイミングで拍手をする人がいても、「まあそういう人もいるだろう」くらいに鷹揚にお客様が構えている空気が支配的であれば、主催者がわざわざそういうことは書かないだろうと思います。

客商売なので、主催者の姿勢は、お客さん(つまりは私たち自身)の態度や姿勢を反映した鏡のようなものになるところがある、ということだと思います。

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そういう事情を踏まえると、拍手の件については、具体的なアクションを起こしている主催者に対して、名指しで論評を加えることが生産的であるとは、私には思われません。

むしろ、今はこんな感じだよねえ、という状況をスケッチすることで、コンサートへご来場されるお客様それぞれがご自身のこととして、主体的に考えていただくきっかけになればと思いました。

コンサートは、舞台の上にも、客席にも色んな人が集まっていて、とてもじゃないけれども、宗教儀礼や学校行事のように整然とすべてが進行するはずがない、くらいに思っておくのがいいんじゃないか、というのが私の考えです。

そういうつもりで行くからこそ、たまに、ビシッと決まった演奏会に出会ったり、まったく予期しないことが起きたときに、素直にワクワクできるのではないか、と。

(そして、こんなことを書くと、またもや火に油を注いでしまうかもしれませんが、演奏が終わったあと、指揮者が手を下ろすまでジーッと会場全体が息を詰めて沈黙している昨今の「真面目な」クラシックコンサートへ行くと、わたくしは、「だるまさんがころんだ」を連想してしまいます。本当に不謹慎で申し訳ないのですが……。)

山口恭子、一ノ瀬トニカ、猿谷紀郎:作品集

山口恭子、一ノ瀬トニカ、猿谷紀郎:作品集

  • アーティスト: 岩城宏之,山口恭子,一ノ瀬トニカ,猿谷紀郎,オーケストラ・アンサンブル金沢,高木綾子
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ちなみに、山口恭子「だるまさんがころんだ」というオーケストラ作品があります。昔、京響で岩城宏之さんが指揮したのを聴きました。