審査員の不規則発言

地方自治体(今話題の「あの人」が知事だった時代に知事公館で表彰式をやったこともある、知事本人は不在だったが)と、松下幸之助が創業した会社からの多額の寄付などを積んで地域振興事業に取り組んでいる団体が共催する一般参加型のほぼ2ヵ月にわたる毎年恒例の文化イベントの審査員が、そのイベントの開催期間中の、まだ審査結果が出ていない段階で、自分の個人ブログに(演奏者の実名こそ挙げていないが)ほぼその公演を特定できる形で酷評を掲載しているわけだが、これはどういうことか?

自身も参加し、結果を承認した事前審査で、その公演の参加を認めているはずなのだが、参加を認めて、いわば、自分の元へ相手を呼びつけたうえで罵倒するという、職権を悪用したツルシアゲなのだろうか。配慮を欠く暴言だと、遺憾の意を表明したい。

この文化イベントは、今の市長が当選した年から、市が主催から外れているわけだが、市長の発言が「問題視」されているタイミングで自主的に不規則発言をすることによって、自分が市長を支持しており、「あなたの同志がここにいる、これはそういう男気(?)のあるイベントなので、是非とも来年度から市も主催に名を連ねて、戻ってきてください」と秘かなエールを送っているのだろうか? まさか。

(イベントの規定や審査員へのお願いなどの形で事前の論評を一律に禁止する形にはなっていないいわば自由裁量の領域。これは、制度が緩いともいえるが、審査員のモラルを信用していると解釈することもできるだろう。つまり、自由裁量の範囲内だからこそ、かえって発言には審査員のモラルがダイレクトに問われる。そして自分の意見を演奏家に講評やアドヴァイスとして届けたいというのであれば、名前を挙げて具体的に書くのでなければ真摯な態度で論評していることが伝わるまい。あなたのやり方は、相手との対等な人間どうしのコミュニケーションの回路を断ち、当該演奏者に人間としての尊厳を認めない「陰口」だ。そこが「橋下」的に見えるわけだが、それでいいのか。)