アジテーション

「公演は夏と冬の年2回。営業に押されて、夏は親子で出かけるファミリー企画。奴らは、“この条件を飲んでくれたら、冬は好きなことをやらせて あ げ ま す ヨ ン(ハート)”と言いやがる。あげます、ってその上から目線が気にくわねえんだよ。だが、まあいい。冬のメンバー、選曲は完璧だ。しかも、前の冬と同じく、あの、何かというと営業のゴマをするヘナチョコ野郎はメンバーから外したぜ。なんでも、夏のファミリー企画は、集客優先と言いながら、結果はそれほどでもなかったらしい。チャンス到来。観客動員でも夏公演を上回って、営業の鼻を明かしてやるぜ。ま、奴らは、現実がどうであれ、観客が入れば自分たちの手柄、観客が入らなければプレイヤーのわがままのせい、と決めつけるチキン野郎だから、何が変わるってもんじゃないが、それでも俺たちにはわかってる。今度は100パーセント俺たちのステージだ。どーせ、奴らはふやけた売り文句を考えて、俺たちに変な衣装を着せた挨拶回りをさせるに違いないが、そんなことに惑わされるな。自分の頭で考えろ、自分の目と耳を信じるんだ。半年後に、ステージの上で再会しよう。俺はそれまでインドの山奥で瞑想だ。グルのパワーでスーパースペシャルグレイトなプレイを決めるぜ、ベイビー! 俺とお前の約束だ」

虚構・創作です。