世間が芸能人の妻問題でにぎやかなときに、大学院時代以来、何十年振りかでベートーヴェンの甥っ子問題を再訪する巡り合わせになっております。
セイヤーの伝記から細々と日付を抜き書きしてベートーヴェンの年譜を作っていたときには、あまり何も思わなかったのですが、作曲者の死後200年近い21世紀に若くて優秀な方々が極東まで来てカルテットを一生懸命演奏している姿を見たあとで年譜を見直しますと、やはり印象が違う。アホな甥っ子に振り回されて肺炎にかかって、それでこの途方もないところへ入り込んでいく創作活動がぷっつり途切れて、それでベートーヴェンは死んじゃったんですよねえ……。
ちょうど昼間、大学の授業でシュトラウスの「ドン・ファン」の結末の説明をしていたのですが、「突然ぷっつり切れる」という終わり方は、周りが何もしようがないだけにアタフタしてしまいますね。なんだか、ホフマンスタールの小説の結末みたい。
満56歳で死んだのだから、中村勘三郎みたいなものですよねえ。
ベートーヴェンに関しては、「もしさらに長生きしていたら」という面白話はやりにくい。この人の死は、物語がないですねえ。そこが凄いというか、らしいというか。
後期四重奏曲、マジメに勉強します。
(個人的には、シュパンツィヒがどんな人物だったのか、というのが一番気になっているのですが。)