異化効果の有効範囲

Wikipedia の英語版とドイツ語版で Peter Konwitschny の項目を比較すると、ベルリン仕込みの異化的な読み替え演出が英語圏では不発に終わって、関心を呼んでいないんだろうなあ、と思わせられる。

異化効果は不発に終わることがあって、その感じは、お笑いで言う「スベる」に近いような気がするのだけれど、そもそも、お笑いにおける「ウケる/スベる」とは何だったのか、というのがよくわからないし、こういう話はどこから手を付けたら良いのだろう。

Verfremdungseffekt が V-Effekt と略称されるほど既知の手法と受け止められている気配があるドイツ語圏の劇場には、スベらないためのノウハウが蓄積されているんじゃないかと思うのだけれど、どこかで誰かが言語化もしくは方法化しているのだろうか。

(もしも、「異化とは、見慣れたものを、あたかも初めて見るかのように異物化する演出・レトリックである」という風に一般化して定義できるとしたら、世にある商品広告・パブリシティは、ほとんどすべてが、異化効果を無害化したうえでカジュアルに運用して、その洗練を果てしなく競い合っている、という風に言えてしまうかもしれないし……。)