楽譜のヴィジュアル

ペータースの古い版だと、ドビュッシーのプレリュードがおよそフランス音楽に見えない。レイアウトとか音符の大きさや間隔とか、ちょっとしたことの積み重ねで、楽譜の「見た目」は随分違ってくるようだ。

3月に、大阪音大の吹奏楽がティーダ出版の新しい楽譜を使って大栗裕の大阪俗謡による幻想曲を演奏したときには、井上道義が丁寧に楽譜を読み込んで指揮していたこともあり、曲の面目が一新された印象だった。

昨日は沼尻竜典の指揮、京響で三善晃のピアノ協奏曲を聴いたけれど、全音の楽譜は十分にメンテナンスされているのだろうか。老舗の出版社には、Finaleのデフォルトに頼るのではない楽譜作りのノウハウがある(あった)に違いないと思うのだけれど……。

この曲は、1960年代の日本のオーケストラを彷彿とさせる骨張ったリズムではなく、読譜が困難ではあっても美しい響きの瞬間があちこちに含まれていそうな気がしたのだが。