- 作者: 谷崎潤一郎,千葉俊二
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- 作者: 谷崎潤一郎
- 出版社/メーカー: 中央公論社
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武智鉄二が谷崎潤一郎に私淑していたこともあり、関西歌劇団の1954-57年の創作歌劇には「白狐の湯」と「マンドリンを弾く男」(いずれも芝祐久作曲)が入っていますが、
http://d.hatena.ne.jp/tsiraisi/20100211/p1
当初は、新歌舞伎「お国と五平」をオペラ化する計画があったようです。
◇武智鉄二氏小編成オペラを制作
清水脩氏の創作オペラ「修禅寺物語」を演出して好評を博した歌舞伎演出家武智鉄二氏は「オペラを日本人の肌にピッタリしたものにするにはどうしても創作オペラをやらなければならない。しかしグランド・オペラをやつていてはまず経済的には成り立たない、経済的に成りたつ小編成の創作オペラをやつていくのが最善の道だ」との見地から小編成オペラの公演を提唱、関響や関西オペラにも呼びかけていたが、この程関係者の協力が約束され本年五月旗上げ公演をすることになつた。
小編成オペラは登場人物も三、四人にとどめられるようなもので、楽団員も十名以内の小編成にし、時にはピアノ三台に打楽器というような変つたアンサンブルを考え、時間も一時間位で経済的に成り立つものである。
計画によれば最初の二年間に八本の創作オペラが上演される予定で、既に谷崎潤一郎氏の「お国と五平」、「白狐の湯」が内定している。
(「楽界ニュース」(無署名)、『音楽の友』1955年3月号、227-228頁)
同じ号に掲載された他の記事から類推して、ここで報じられたのは1954年末段階での情報だと思われます。実際の創作歌劇第1回公演は予定より1ヶ月遅い1955年6月になり、大栗裕「赤い陣羽織」が上演されました。何らかの理由で「お国と五平」がボツになり、大栗裕は代役で抜擢されたのだと思われます。
(1954年末というと、武智鉄二と松竹の間に確執があり、その余波で、当時評判を呼んでいた関西歌劇団の「お蝶夫人」を12月に東京歌舞伎座でやる話がご破算になったところでした。ひょっとすると、歌舞伎の現役演目だった「お国と五平」を武智演出でオペラ化する案は、松竹から横槍が入った可能性があるかもしれません。具体的な根拠はなく、あくまでひとつの可能性として想像しているに過ぎませんが……。)
この記事は、「赤い陣羽織」の作曲開始がこの発表より後でしかあり得ず、この歌劇がわずか半年で作曲され、初演にこぎつけたことの傍証としても興味深いのですが(大栗裕自身も「アカジン」は半年で書き上げたと回想しています)、
歌舞伎座さよなら公演 七月大歌舞伎/八月納涼大歌舞伎 (歌舞伎座DVD BOOK)
- 作者: 小学館
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オペラ化されなかった「お国と五平」がどういう芝居なのか、脚本は文庫や全集で読めますが、舞台でやるとどんな風なのか見てみたいと思っていたところに、建て替え前の歌舞伎座さよなら公演(2009年8月)のDVDが出ました。
1922年に発表して帝劇で初演。戦後1949年から松竹でも上演するようになったようです。(cf. 谷崎潤一郎 詳細年譜 http://homepage2.nifty.com/akoyano/tanizaki.html)
お国(扇雀)は、五平(勘太郎)をお供に連れて仇討ちの旅に出て、ようやく夫を殺した仇・友之丞(三津五郎)とめぐり逢ったのはいいのだけれど……、という筋立てはとても面白いので、それぞれでご確認ください。
脚本を目で追うだけだと、なんだかグダグダの展開だなあと思っていたのですが、舞台でやると、仇討ちの構図が友之丞のキャラの前にガラガラと崩れて、お国と五平がズブズブと深みにはまっていくのは谷崎らしい展開ですね。
しかし、ひたすら三人の会話で進むお芝居ですから、うまくオペラになりえたのかどうか。武智鉄二とも親好のあった黛敏郎は当時メノッティを高く評価していたようですから、ああいう感じの徹底的にリアルに演じる室内劇風の舞台をイメージしていたのでしょうか?
この計画が実現していたら大栗裕の「赤い陣羽織」が生まれなかったのですから、ここで歴史にIFを導入するわけにはいきませんが^^;;、歌劇版「お国と五平」見たかった気もします。
- 作者: 森彰英
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- 作者: 小谷野敦
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