無事生還できただけでも大変立派なことではある

下野・大フィルの戦争レクイエム。

全員無事に最後のア・カペラのハーモニーまでたどりついたこと、これだけ色々なことが起きる曲で、決して落伍者を出すことなく最後までたどりつく、いわば舞台上のマネジメント力は、おそらく「特筆に値する」と思う。

その分、ずっと気持ちをキープして途中で切れない我慢と忍耐が続いているような印象があり、合唱+ソプラノ+本体オケのカトリック・チームと、テノール+バリトン+室内オケのオーウェン・チームも、向き合って対立しているというより、バラバラにならないように気を遣い合っているように、私には聞こえました。

まんべんなく注意を払って、音が整然とまとまっていることが、この作品の場合に、良いことなのかどうなのか。もっとエゲツナイことが書いてあるのではないか。音楽と言葉は、たぶん、もっと強烈に結び付くように書いてあるのではないか、という気がします。(その衝撃力を活かすとしたら、本当は英語ではなく、日本語で歌うと、もっと意図がはっきりしたのかも、と思いましたが、さすがにそれは難しいでしょうか……。)

リベラ・メで大変なことが起きて、お互いがいがみあってるだけじゃなくなる結末部分は良かった。

2つのチームを舞台上ではっきり分ける見た目はとても美しい。児童合唱を外から響かせるのは、音響効果としてはいいのだけれども、言葉がぼやけるのが惜しい。