演奏会

北村美奈子ピアノリサイタル

いずみホール。バッハ(「パルティータ」第2番)やベートーヴェン(「ソナタ」ホ長調op.109)を、声が響き合うポリフォニーというより、ディスカント声部の浮き立たつ、美しいモノローグに仕上げたのは一つの解釈と言うべきでしょうか。後半はシューマン「…

高本一郎リサイタル2005 アーリーギターの楽園〜小林道夫氏を迎えて〜

ルネサンスギター(モルラーユ)、ヴィウエラ(ナルバエス、ムダーラ)、バロックギター(サンス)、19世紀ギター(モシュレス他)を使い分ける試みでしたが、繊細な響きの世界に自足しがちになるのが気になりました。特に、モシュレス「協奏的二重奏曲」で…

韓伽ヤ(ハン・カヤ)ピアノリサイタル

イシハラホール。演奏とは、音と無音の組み合わせで時間を分節することであり、楽節のシンタクスや主題の連関(変奏)すら、シェーンベルクが十二音のセリーについてそう考えていたように「聞こえない構造」として意識から排除する。そういう風に、一切の退…

林真紀子ピアノリサイタル

午後、イシハラホール。リスト「ダンテを読んで」の天国的な主題を丁寧に弾いている姿に、ピアノという楽器が本当に好きなのだろうなと思いました。が、各曲を弾きこなすには、技術的に課題山積かもしれません。バッハ=ブゾーニ「シャコンヌ」、ベートーヴ…

笹村直子ピアノリサイタル

ザ・フェニックスホール。グリーグ「ホルベアの時代から」はロマンチックな演奏。ドビュッシー「前奏曲集第1巻」とバルトーク「ソナタ」は、どう弾くべきか狙いを定めきれないまま、ひとまず弾いてみた、という印象をぬぐえませんでした。

添田ゆみピアノリサイタル

ザ・フェニックスホール。ショパン「アンダンテ・スピアナートと華麗なポロネーズ」の宝石のようなコロラトゥーラ、大見得を切るリスト「ハンガリー狂詩曲第6番」など、客席の拍手喝采を受けるのが楽しくてたまらないという演奏でした。後半のシューマン「…

大阪AISコンサート 芳村雪/クラシックギター

午後、ベルギーフランドル交流センター。澄んだきれいな音で技術的にもしっかりしているのですが、生真面目。どこかに遊びや羽目を外すところが欲しいと思いました。タレガ「グランドホタ」。ソル「エレジー風幻想曲」。マンゴレ「告白」、「大聖堂」。ソル…

吉田順子ピアノリサイタル

いずみホール。堅実な演奏で、特にバッハ=ブゾーニ「シャコンヌ」をオルガン風の響きでまとめたことに好感を持ちました。が、レガート/レジェッロ、ペダルのON/OFFなど、表現の在庫がやや乏しすぎるかもしれません。ショパン(「ワルツ」op.42)やシューマ…

バイエルン放送交響楽団

午後、京都コンサートホール。マリス・ヤンソンス指揮。マゼール時代の極限まで緻密なアンサンブルから描線の太い演奏に様変わり。ワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕の前奏曲で、崇高な金管、軽妙な木管、広場に群衆がひしめくような…

志賀雅子ピアノリサイタル

イシハラホール。丁寧に楽譜を読み解き、ひとつずつ表現を積み重ねていく良心的な演奏だと思いました。ただ、あまりに慎重で、ほとんど一小節ごとに立ち止まり、楽想の大きな変わり目で身構えてしまうのが気になりました。時にはノリに身を任せること、大胆…

古谷泉&三森尚子ピアノデュオ・コンサート

午後、ザ・フェニックスホール。前半のみ。上品で冒険をしない穏やかな発表会。モーツァルト「アダージョとアレグロ」へ短調、ブラームス「ハンガリー舞曲」第1、5、6番(以上連弾)。リスト「バラード第2番」(古谷)。ショパン「幻想曲」(三森)。

京都市交響楽団第482回定期演奏会

京都コンサートホール。大友直人の指揮。シューベルト「未完成」のブラームス風に厚ぼったい弦楽器はやや疑問(コンサートマスター,工藤千博)。マーラー「大地の歌」で、テノール、クリストフ・プレガルディエンは奔放に若々しく歌いたかったようですが、…

上田明美ピアノリサイタル

いずみホール。最後のメシアン「幼子イエスに注ぐ20のまなざし」より「幼子イエスの口づけ」、「喜びの精霊のまなざし」のみ。複雑なテクスチュアを整理する聡明さと、メシアンらしい輝かしさ。やや細身な響きかな、という印象は残りましたが(バスをオルガ…

藤村匡人&長谷智子リートデュオ・リサイタル 「シラーの詩による歌曲を集めて」〜没後200年を記念して

大阪倶楽部4Fホール。後半最後のシューベルト「潜行者」のみ。要所でもう少し強い声があれば、とは思いましたが、聞きやすい歌唱。メロディのついた詩の朗読会と考えれば、淡々と進む演奏も悪くないと個人的には思います。「音楽会」を期待する人は、ピアノ…

庵前通世ソプラノリサイタル

イシハラホール。最初の4曲のみ。山田耕筰、武満徹を集めた日本歌曲のリサイタル。やや無理をしているような発声が気になりました。ピアノの谷口敦子は、安定感があり、きれいな響きを選び取る好演。

小森邦彦マリンバリサイタル

ザ・フェニックスホール。マリンバのオリジナル作品を集めた演奏会ですが、自分が紹介している作品への共感、作曲家との連帯感があるのかどうかが不明。どんな難曲でも平然と暗譜で弾きこなす、ほとんど演奏機械的な性能ばかりが表に出る演奏会でした。(お…

三原剛バリトンリサイタル〜ハイネと白秋の世界〜

いずみホール。詩人の名前をタイトルに出したリサイタルですが、比較的ポピュラーな曲をポンと並べたプログラムで、演奏は、持ち前の美声でなんとか歌いきったという印象。シューマン「詩人の恋」の細部は大づかみで詰め切れていないところが多々ありました…

松本昌敏ピアノリサイタル

午後、イシハラホール。大曲が並ぶチャレンジングなプログラム。クライマックスになるとノーブレーキ、フルパワーで突進してしまう癖が問題ではないかと思います。無垢な優しい弱音は魅力的。ショパン「バラード第4番」、「ソナタ第2番」、スクリャービン…

岸美香ソプラノリサイタル

イシハラホール。前半のみ。時には高貴なお姫様、時には奔放なジプシーを演じるプリマドンナへの憧れを感じさせる華やかな選曲でした。ヴィヴァルディ「ポントのアルシルダ王妃」より、ドヴォルザーク「ジプシーの歌」など。ピアノ、佐田めぐみ。

荘村清志〜哀愁のショーロ〜

ザ・フェニックスホール。哀愁というよりキザ、心にしみる歌というより、さりげない技を見せる演奏でしたが、フッソングの切れの良いリズムから憂いのある旋律まで、七色のアコーディオンとの共演を楽しむことができました。レイス、イルマン(「バーデン・…

幸田浩子ソプラノリサイタル

イシハラホール。前半はバッハ、ヘンデル(バッハ「結婚カンタータBWV.202抜粋、ヘンデル「オンブラ・マイ・フ」他)。声だけで聴かせるよりも、舞台で娘役を演じる時に映える人なのかもしれません。よく響く声が出てはいるのですが、レガートがきれいに流れ…

京都フィルハーモニー室内合奏団「名曲コンサート」

午後、京都コンサートホール。先月の定演に続いて佐藤俊太郎の指揮。京フィルとしてはとても充実した演奏だったことを認めた上で、シューベルト(「未完成」)やベートーヴェン(「運命」)のサウンド、特に弦のアンサンブルに、どんよりして整理され切って…

高木和弘・無伴奏ヴァイオリンリサイタル第2夜

ザ・フェニックスホール。第1夜(10/26)をやり切ったあとで、正直、第2夜は、私には蛇足に思われました。高木さんの演奏は、「無邪気に歌うことだけはしない(できない)」という自意識のこわばりのようなところから出発していて、第1夜のパガニーニは、…

阿部真理子ピアノリサイタル

ザ・フェニックスホール。前半のみ(バッハ=ブゾーニ「シャコンヌ」、リスト「ペトラルカのソネット第104番」、「ダンテを読んで」)。難しい曲が並ぶプログラムを慌てずさわがず、淡々と弾き通すことができたのは、本当にコツコツ地道に譜読みをされた成果…

関西歌曲研究会第69回演奏会「日本歌曲の流れ」《私の好きな日本の歌》

ドーンセンターホール。会員の日頃の歌の研鑽の成果を発表する場なのだと思いますが(出演者10名)、総花的な発表会ではなく、テーマを設定して統一感をもたせる工夫が長続きの秘訣なのかな、と思いました。

宮川彬良×平原まこと〜サッちゃんからヤマトまで〜

ザ・フェニックスホール。「マツケン・サンバの生みの親(作曲者)」の宮川彬良が、選曲・トーク・演奏の魔法のような手練手管を駆使して、「平原綾香の父親」、ベテラン・スタジオ・ミュージシャン平原まことの鍛え上げられたサックス(ソプラノ・サックス…

八木良平ピアノリサイタル

ザ・フェニックスホール。曲の構造を隅々まで調べて、きっちり把握していることは伝わってきたのですが、奏法が我流で感覚的な喜びに乏しく、乾いた分析報告のようになってしまっていたのが本当に残念でした。ベートーヴェン「テンペスト・ソナタ」、ブラー…

高木和弘・無伴奏ヴァイオリンリサイタル第1夜

ザ・フェニックスホール。パガニーニ「24の奇想曲」全曲演奏。客席が四方からステージを囲む配置で、向きを変えながら弾くというステージング。どこで動くかということまで、細かく計画を立てているようでした。演奏も、全24曲をトータルにとらえて、どこで…

長岡京室内アンサンブル

京都府立府民ホール・アルティ。今回は、若手がソロやリーダーとして活躍するヴィヴァルディの協奏曲(「チェロ協奏曲」ニ短調=独奏:マルクス・ベリ、ヴァイオリン様相曲イ短調op.3-6=独奏谷本華子)とグリーグ「ホルベアの時代」(コンサートマスター=…

臼井真奈オルガンリサイタル

午後、いずみホール。ヴィエルヌ「オルガン交響曲第1番」でもホール全体が共振するような迫力に頼ることがなく、また、特殊なストップを駆使したせいか、音の取りこぼしが何度かあったので、一般受けしにくい演奏だったとは思いますが、バッハのコラール「…